「あ〜!美味しかった!」
「「「「「「「「「「ご馳走様でした〜!」」」」」」」」」」
真理愛はテーブルに並べられた空の皿を見て呟やいた。皆でテーブルを囲い何でもない会話をしながら頂く食事は本当に楽しかった。
真理愛はサッと立ち上がり空になった皿を重ね台所の流し台へと運ぶ。
すると翼も一緒に片付けをし始める。
「真理愛、翼 俺片付けするから」
すると壱夜に声をかけられた。
「ぇ、いいよ?片付けするよ」
真理愛の言葉に頷く翼。
リビングでは皿の無くなったテーブルの上をかぐやがナフキンで拭いている。
片付けもせっせと女の子で機敏に動いていた。
「俺もやるよ」
その声と共に翼の持っていた皿が目の前から消える。翼はその皿を追いながら顔を上げるとそこには御影がいた。
御影は翼の持っていた皿を持ち流しに置き、洗い始める。
その姿を他の10人はポカーンと眺める。
「いやいや!ちょっ御影!」
愁は御影のまさかの行動に声を上げた。
次期当主である御影に家事をやらすなんて事があってはならない。
「み、御影 私たちでやるからそんな事しなくていいよ!!」
真理愛が慌てて声を上げる。
「御影様!私わたくしがやりますわ!スポンジを置いて下さい!」
テーブルを拭いていたかぐやが慌てて御影からスポンジを取り上げる。
「次期当主であるあなたがそんな事しなくていいのですよ?」
慌てたかぐやが御影に言う。
その言葉を聞いた御影はポツリと呟いた。
「…そうか」
少し寂しそうに言う御影に全員が呆気に取られる。
(したかったの?)
(したかったのか?)
そこにいた全員が思った。
「ねぇ、ちょっと拗ねてない?」
陸玖はリビングのソファーに座りテレビを眺める御影の背中を見て隣に座る琉伽に話しかける。
「…ぁ〜、うん そうだね」
せっせと片付けをする三人の姿に視線を移す。
真理愛とかぐや、翼が片付けをしていた。
先程の御影の言動に全員が驚き、制しした。
まさか、あんな言葉が出るなんて誰も思いやしなかった。
全員に制しされた、御影は何だか拗ねているような気がする。
「そんなに皿洗いしたかったのかな?」
「ん〜、好奇心…かな?家では使用人が全てやるから…」
「…好奇心、ねぇ〜」
御影の背中を眺めながら陸玖は呟いた。
御影の右隣には庵、左隣には海偉が座っており海偉がふたりに一方的に話しかけ何かケラケラと笑っている。
陸玖は御影から海偉に視線を移す。
(まあ、分からなくもないけど…)
そう心の中で呟き、昔のことを思い出していた。
海偉も言わば御影と規模は違うが【リアゾン】を統治するハンターの一族の跡取りだ。
今はふたりで住んでいるが、昔は家に使用人がいた。身の回りは全て使用人が行い、私たちはハンターの修行と学校以外の事は何もしていなかった。楽と言えば楽だがどことなく窮屈しさを感じ条件付きでふたりで暮らし始めたのだった。


