小さいころからそうだった。
大きな屋敷の窓から同じ年くらいの子ども達が遊ぶのを眺める。
私も一緒に遊びたくて、窓の外を眺めるけど誰も私には気づいてくれない。
ずっとずっと一人で広い部屋にひとり…。
「陸玖迎えにきたよ」
兄が迎えに来るまでは…。
【リアゾン】
「…………」
カーテンから覗く太陽の光がベッドで眠る陸玖が顔を掠める。
-もう朝…早いなあ……
朝だと実感した途端ぐうぅ~とお腹が鳴る。
「…お腹空いた」
陸玖はベッドから抜け出し居間に向かう為まだ覚醒しない頭でに部屋を出る。部屋から廊下に出ると既にいい匂いが陸玖を襲った。
「おっ、陸玖おはよう」
エプロン姿の兄である海偉の姿。
「もう朝ごはんできるぞー」
「…………」
料理する姿をぼーっと眺める。
「どうしたあ~?まだ頭覚めてないなあ~顔洗ってこ~い」
「…用意しなくていいって言ったのに」
陸玖はその一言を残して顔を洗いにいく。
「あ‘‘?陸玖!今なんつった!?」
海偉の声が廊下に響く。
陸玖は洗面所に行き蛇口を捻り水を出す。
流れる冷たい水をすくって顔を洗う。
一気に目が覚めた陸玖は水に濡れた自分の顔を鏡越しに凝視する。
「…はぁ」
-疲れた顔…いや、いつも通りかも…私はこんな顔だ、いつも…。
エンプロン姿の海偉の姿を思い返す。
疲れた顔で目の下にはクマ…。あの舞踏会から海偉はずっと徹夜であの子どもたちについて調べている。
-私より疲れているはずなのに朝早く起きて朝ごはんの準備。そんなことしなくていいのに…。朝ぐらい寝てたらいいのに…。
「陸玖ー!早く食べないと学校送れるぞ~!」
「もうっっ!!分かってるっつーの」
タオルを手に取って乱暴に顔を拭く。
-いつまでも守られる立場でいたくない。
それだけは確かだ。
「はい、弁当」
「はっ?」
玄関で靴を履く陸玖に弁当を渡す。
「え?なにお兄、弁当まで作ったの?」
「なんだよ、悪いかよ。お兄頑張って作ったのに…悲しい」
「あぁ~もう。はいはい、感謝感謝。ありがとありがとっ」
陸玖はむすっとしながらも弁当を手に取る。
「じゃーな、気をつけろよ~。あ、後俺今日【リデルガ】行くから帰り遅くなるかも」
「なんで?」
「…ちょっとな」
そう言って笑う海偉に少しムッとした顔をして陸玖は出ていった。
するともう一度玄関の扉が開く。
俯く陸玖、そのまま動かない。
「………」
「んっ?どうしたリク?忘れ物か?」
「今日…」
「今日?」
「今日の夜ご飯は私が作るから…買い出しも行かなくていいし、私が帰るまでゆっくりしてて…じゃあ!!」
ガチャン!!
そう言い残して陸玖は出ていった。
-なんだあいつ
「…くっははははっ」
海偉は笑いがこみ上げてくる。
「あっははは、やっぱり可愛いもんだな妹って、」
「陸玖!おはよう!」
「…おはよう」
「ん?あれ?陸玖顔赤いよ?熱でもある?」
「ないっ!!!!」
「なんで怒ってんの~?一緒に学校行こうよー!待ってよ陸玖~」


