-あれから1ヶ月。
1ヶ月の休校を経て、今日から授業が再開された。
「はーい、おはようござい〜ます。お前ら久しぶりだな〜。うんうん、皆元気そうな顔だな、よかったよかった。」
藤堂は教卓に手を付き、いつもの気怠げな雰囲気で話す。
「まあ、色々驚いたと思うが暗血線の方々がちゃ〜んと捜査してくれ安全性に問題はないと判断された」
「………」
「だから、今日から安心して【学園】生活送ってくれな。じゃあ、授業始めるぞ」
そう言って授業を開始した。
御影はあの正体不明の子どものことを調べていたがそれに関する情報は一切手に入らなかったと言っていた。
そうしている間に【学園】は再開となり、謎だけが残った。
1人の犠牲と共にこの謎の子どもの襲撃事件は幕を降ろした。
ふと隣を見ると真理愛と目が合う。
真理愛は翼と目が合うなりサッと目をそらす。
そして困ったように笑う。
その表情に疑問を思いつつ、教室の他の生徒があの事件について話しているのが聞こえる。
-あの子どもが何だったんだろう。
知りたくても知ることが出来ない、明かされることの無い正体。それがなんだか、翼は気持ち悪かった。
そして昼休み。
【学園】のテラスで真理愛、かぐや、翼の三人は昼食を取っていた。
「翼さん、もう体調はいかがですか?濃吸症(こうきゅうしょう)きつかったでしょう?」
かぐやが心配そうに聞いてくる。
「大丈夫、かぐやちゃんが色々持ってきてくれたし」
「それは良かったです」
かぐやは嬉しそうに頷いた。
すると真理愛が申し訳なさそうに言葉を発する。
「…ごめんね、私お見舞い行けなくて」
「ううん!そんな謝らないで」
たかが熱を出しただけで、肩を落とす真理愛の姿に何だかいたたまれなくなった翼は話題を変える。
「…あの子ども何だったと思う?」
「…何だったのでしょう?とても嫌な感じがしました。」
「かぐやも見た?
「えぇ、私は庵様と一緒にいたのですけど。廊下を出たところで数人の子どもが変なヨタヨタした歩き方をしていて…庵様がおかしいって仰ったと思ったら急に子ども達が追いかけてきて…」
「…ぇ、嘘。追いかけてきたの?」
「はい、それで私と庵様は走って逃げて…逃げてる途中で大人に襲いかかる数人の子どもを見ました。」
「…それ、やばくない?」
「えぇ、とても。変ですよ、とても…」
かぐやの話を聞いて、やっぱりあの子ども達は普通じゃなかった。
「何なんだろうね、御影達も正体突き止められなくて何だかピリピリしてるしね…」
そう、真理愛が言うように最近の六花のメンバーはピリピリしているのだ。
-特に御影…
専用室で何やら書類に目を通しては、眉間に皺を寄せ、それはもう怖い顔をしている。
いつも以上に…。
その雰囲気に周りの六花のメンバーもピリピリしていて、何だか落ち着かない。
「専用室が凄い雰囲気なんだよね…」
翼はコクっと頷いた。
「…そうなんですか?」
「かぐやはあんまりこないもんね、もう皆ピリピリしてすごいよ。ねえー、翼ちゃん」
「…うん、本当に何だか居心地悪い…」
「…そんなにですか、、」
「まぁ、そりゃそうだよね。次期この国を背負う人達だもん。分かるんだけどさ〜」
「…難しい問題ですね。」
三人で何とも答えの出ない問題に頭を抱えていた。


