「さ、入って」

琉伽は六花専用室に三人を通す。
三人が入って、廊下を確認するが人影も、誰もいないな。何事もなく六花専用室にたどり着けた事に少し安堵する。
そして琉伽は大広間にいるであろう御影と壱夜の所に戻ろうと専用室を出ようとした時…。

「じゃあ、俺は」
「待って」
「…陸玖ちゃん」

琉伽の手首を握った陸玖の瞳は真剣だった。

「どこ行くの?」
「どこって、大広間に…」

そして陸玖は琉伽の耳に顔を近づけた。

「身体ボロボロのくせに…戻ったって足手まといになるだけ…違う?」
「………」

-やっぱり気づいてたんだ…だから海偉は俺を六花専用室に…やっぱりハンターの末裔だな。

琉伽はぎゅっと拳を握った。

ガチャっ

次の瞬間六花(ろっか)専用室の扉が開いた。
陸玖は咄嗟に握っていた琉伽の手首を後ろに引き陸玖の後ろに匿うようにして開いた扉に銃を向ける。

「おい…銃を降ろせ」
「庵…」

そこには庵の姿があった。

「琉伽もいたのか、なら安心だな」
「なに?無事だったんだあ~」

陸玖は庵の姿を確認して銃を降ろす。

「かぐやを頼む」

庵の後ろからかぐやが顔を出す。

「かぐや!」
「真理愛ちゃん!」

かぐやは真理愛の所に駆け寄りハグをする。

「無事だったんだね」
「真理愛ちゃんこそ、よかった…」
「じゃあ、俺は御影の所に行く」
「お、俺も」
「琉伽、お前はかぐや達を頼んだ」
「庵…」
「庵様…」
「大丈夫、すぐ戻る」

そういって庵は笑って六花専用室を出て行った。

「へえ~あいつってあんな顔できるんだ~」

琉伽は走っていく庵の後ろ姿を見ながら、何も出来ない自分が不甲斐なかった。ぎゅっと握った拳に力が入る。