『母様!母様!僕ね!』
屋敷の廊下
窓の外では雨が降っていて、肌寒く暗かった。
廊下の先には御影に背を向けて歩いていく母親の背中。
『僕、テストで一番になったよ!』
足を止めて振り返る母親の顔は暗くはっきり見えなかったのを覚えている。
褒めてくれると思った…。
だから、御影は嬉しそうに答案用紙を母親に見せた。
『ねえ、母様!』
伸ばした手は
バチンッ
振り払われた。
『汚らわしい』
ごみを見るような目。
そんな目で僕を見ないでよ…
-ねえ、母様どうして?
暗い廊下に響くヒールの音だけが残った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…