ポスターで探されている人の心当たりですか?
……はぁ、ありますよ。あんまり話したくはありませんがね。
残念ながら、彼の名前は覚えていません。
みんなそう言う?
そうでしょうね。だって、そういうものですから。
どういうことか、ですか?
すみませんがあまり詳しいことは言えません。
よく怖い話をしている時とかに言われませんか?「その話をしていると、本物が寄ってくる」って。
お坊さんなんて職業でいると、そういうのに敏感になってしまいまして……。
まぁ、少なくとも彼らの場合は幽霊なんて生易しいものではありませんけどね。
その全容は私でも計り知れません。
彼との関係ですか?
初めて会ったのは彼の父が捨てられていた死にかけの赤ちゃんをこの寺院に大慌てで連れてきた時でした。
それから彼の父とは数回だけ話した程度の仲です。
それから数年の月日が経って、彼の父はまたこの寺に訪れて、私にあるお願いをしました。
詳細な願い事の内容はもう忘れました。
えぇ、これもそういうものだからです。
確か、子供だけでもどうにかしてあげてください。といった内容だったと思います。
しかし、それは私には、というか現存するどんな人でも、『これ』はどうにもすることができないと私は言ったと思います。実際にそうでしたから。
しかし、私もまだ小学生に入りたての子供を見放す程人でなしではありませんから、私は出来る限りのこと尽くしました。そのおかげで、今後起きるであろう症状の特定、それをお伝えしました。
それ以来、二人は姿を見せなくなり、次に会ったのが、彼が高校生の時です。
……すみません。話せるのはここまでですね。
これ以上は私の身も、あなたの身も危ないかも知れない。
私はこう見えてもすごく慎重で臆病な人間でして、必要のない危険は絶対に避けたいのですよ。
最後に二つだけ質問?
そういうのは一つに絞るものではないんですか?
……いいでしょう。私に答えられるものだったら、ですが。
ええ、彼がここに再び訪れた時、女の子も一緒に来ていましたよ。
黒髪が綺麗なすごい別嬪さんだったのを覚えていますよ。
駅で偶然彼らを見た時、彼女が両腕と左足のない彼を献身的に支えていたのをよく覚えています。
なんて残酷なことだろうと心の中で叫びましたよ。
なんてこの世はなんて非情なんだろう、と。
私だって、別に人の心が無いわけではありませんから。
そして、二つ目の質問は?
『これ』とは何か、ですか……。
……どうしても知りたいのですか?
……『これ』とはとある呪いのことですよ。
強い強い、怨念がこもった呪い。
その呪いにかかった人は皆、身体に欠損が生じるみたいですよ。
そして、その呪いは……。
いや、これ以上は言えません。
私のためにも、あなたのためにも。
なんで教えてくれたか?ですか。
……何度も言っていますが、私だって、心がない訳では無いですから。
彼は、ただの子供だったんです。私たち大人が守るべき、尊い命だった。
私は自分を守るために、彼を見捨ててしまった。
今だって、保身のためにあなたへの話を制限している。
これは私のできる贖罪だからですよ。
……はぁ、ありますよ。あんまり話したくはありませんがね。
残念ながら、彼の名前は覚えていません。
みんなそう言う?
そうでしょうね。だって、そういうものですから。
どういうことか、ですか?
すみませんがあまり詳しいことは言えません。
よく怖い話をしている時とかに言われませんか?「その話をしていると、本物が寄ってくる」って。
お坊さんなんて職業でいると、そういうのに敏感になってしまいまして……。
まぁ、少なくとも彼らの場合は幽霊なんて生易しいものではありませんけどね。
その全容は私でも計り知れません。
彼との関係ですか?
初めて会ったのは彼の父が捨てられていた死にかけの赤ちゃんをこの寺院に大慌てで連れてきた時でした。
それから彼の父とは数回だけ話した程度の仲です。
それから数年の月日が経って、彼の父はまたこの寺に訪れて、私にあるお願いをしました。
詳細な願い事の内容はもう忘れました。
えぇ、これもそういうものだからです。
確か、子供だけでもどうにかしてあげてください。といった内容だったと思います。
しかし、それは私には、というか現存するどんな人でも、『これ』はどうにもすることができないと私は言ったと思います。実際にそうでしたから。
しかし、私もまだ小学生に入りたての子供を見放す程人でなしではありませんから、私は出来る限りのこと尽くしました。そのおかげで、今後起きるであろう症状の特定、それをお伝えしました。
それ以来、二人は姿を見せなくなり、次に会ったのが、彼が高校生の時です。
……すみません。話せるのはここまでですね。
これ以上は私の身も、あなたの身も危ないかも知れない。
私はこう見えてもすごく慎重で臆病な人間でして、必要のない危険は絶対に避けたいのですよ。
最後に二つだけ質問?
そういうのは一つに絞るものではないんですか?
……いいでしょう。私に答えられるものだったら、ですが。
ええ、彼がここに再び訪れた時、女の子も一緒に来ていましたよ。
黒髪が綺麗なすごい別嬪さんだったのを覚えていますよ。
駅で偶然彼らを見た時、彼女が両腕と左足のない彼を献身的に支えていたのをよく覚えています。
なんて残酷なことだろうと心の中で叫びましたよ。
なんてこの世はなんて非情なんだろう、と。
私だって、別に人の心が無いわけではありませんから。
そして、二つ目の質問は?
『これ』とは何か、ですか……。
……どうしても知りたいのですか?
……『これ』とはとある呪いのことですよ。
強い強い、怨念がこもった呪い。
その呪いにかかった人は皆、身体に欠損が生じるみたいですよ。
そして、その呪いは……。
いや、これ以上は言えません。
私のためにも、あなたのためにも。
なんで教えてくれたか?ですか。
……何度も言っていますが、私だって、心がない訳では無いですから。
彼は、ただの子供だったんです。私たち大人が守るべき、尊い命だった。
私は自分を守るために、彼を見捨ててしまった。
今だって、保身のためにあなたへの話を制限している。
これは私のできる贖罪だからですよ。



