探偵さんへ。
私の勝手な行動に付き合わせてしまってすみません。
隣に置いてある封筒はもう見られましたか?
中には報酬金五百万円が入っています。
受け取ってください。
きっと、探偵さんは今、困惑していると思います。
まだ依頼されていた行方不明者を見つけられていないのに、と。
それは当然です。
もう彼は既に亡くなっていますから。
ですから、探偵さんがこの依頼を完璧終えることは不可能だったのです。
ですが、調査の終着点は決めていました。
それがここです。
横には、私の書いた一冊の小説が置かれていると思います。
その中に私と彼、『佐倉景』の全てが書かれています。
それを読めば全てが分かります。
読むか読まないかは、探偵さんにおまかせします。
今までの調査、本当にありがとうございました。
私たちを見つけ出してくれてありがとうございます。


以下、探偵さん以外の方へ宛てた遺言書とさせていただきます――