菜沙さんから渡された封筒の中身はまたも、住所書かれた紙だった。今度は鍵も同封されていたが。
例の住所は商店街近くのマンションの一室だった。
オートロック付きでセキュリティとしっかりしていたマンションだったので、入るのに少し緊張した。
「お邪魔します」
鍵を差し込み、部屋の中に入ったものの、返事はなく、電気は全て消えていた。
廊下を歩いていくと、左右に部屋が一つずつ。
さて、女性の部屋を勝手に覗いてもいいものか……。
思案してみた結果、鍵も渡された上に、本人に調査の依頼を受けているのだから、やるしかないでしょ。という考えに至ったので扉を開けることにした。
右手側の扉の向こうは寝室だった。
部屋の中にはベッドがあるだけ。そのベッドも枕も白で統一されていて、どこか病院の入院室を思い出す。
一部屋にベッド一つしかないので、その分だいぶ広く感じる。
特に探るような所もないので部屋を出て、今度は左にあった部屋へと進む。
「これは……」
天井から吊るされた、輪っかの作られたロープ。その真下には倒れている椅子。
まるで自殺現場を見ているようだった。
「死体がないのだけが幸いか」
周りも見てみるも、先程の寝室同様、ロープと明日以外は何も無い。
志崎詩音はミニマリストなのだろうか?
部屋を出て、突き当たりの扉を開けるとそこは広々としたリビングだった。
さすがにリビングには生活感が出ていて安心した。
リビングの横には部屋どうしが繋がるような形でパソコンが置かれた作業部屋のような場所を見つけた。
パソコンの横には写真立てと、髪ゴム、ストローの刺さったペットボトルなどを見つけた。
写真立てに飾られた写真は学校の窓際で撮った写真のようで、風がカーテンを揺らす風景が撮られていた。
しかし、そのアングルはカーテンや窓を主役として撮っている構図には見えず、まるで僕には見えない何かを撮っているように思えた。
その隣に置いてある髪ゴムは菜沙さんの言っていた、ラベンダー色の髪ゴム。
これを見て、志崎詩音は会わないなどと言っておきながら、なんだかんだ妹のことが好きだったんだなと胸がじんわりとした。
ペットボトルについても特に違和感はないようにおもえるが、呪いについてのこともある、もしかしたら志崎詩音は既に両腕が満足に使えず、わざわざストローをさしているのかもという考察もできる。
リビングの方へ戻り、テーブルの上を見ると、あるものが目に留まる。
机の上に置かれた一冊の冊子と、分厚い封筒と薄い封筒。
まずは分厚い封筒を開けると、中には一万円の札束が入っていた。
おそらく、五百万円ほど。
驚いたまま、薄い封筒を開けると、それは志崎詩音が書いたのだろう手紙――遺書が見つかった。
例の住所は商店街近くのマンションの一室だった。
オートロック付きでセキュリティとしっかりしていたマンションだったので、入るのに少し緊張した。
「お邪魔します」
鍵を差し込み、部屋の中に入ったものの、返事はなく、電気は全て消えていた。
廊下を歩いていくと、左右に部屋が一つずつ。
さて、女性の部屋を勝手に覗いてもいいものか……。
思案してみた結果、鍵も渡された上に、本人に調査の依頼を受けているのだから、やるしかないでしょ。という考えに至ったので扉を開けることにした。
右手側の扉の向こうは寝室だった。
部屋の中にはベッドがあるだけ。そのベッドも枕も白で統一されていて、どこか病院の入院室を思い出す。
一部屋にベッド一つしかないので、その分だいぶ広く感じる。
特に探るような所もないので部屋を出て、今度は左にあった部屋へと進む。
「これは……」
天井から吊るされた、輪っかの作られたロープ。その真下には倒れている椅子。
まるで自殺現場を見ているようだった。
「死体がないのだけが幸いか」
周りも見てみるも、先程の寝室同様、ロープと明日以外は何も無い。
志崎詩音はミニマリストなのだろうか?
部屋を出て、突き当たりの扉を開けるとそこは広々としたリビングだった。
さすがにリビングには生活感が出ていて安心した。
リビングの横には部屋どうしが繋がるような形でパソコンが置かれた作業部屋のような場所を見つけた。
パソコンの横には写真立てと、髪ゴム、ストローの刺さったペットボトルなどを見つけた。
写真立てに飾られた写真は学校の窓際で撮った写真のようで、風がカーテンを揺らす風景が撮られていた。
しかし、そのアングルはカーテンや窓を主役として撮っている構図には見えず、まるで僕には見えない何かを撮っているように思えた。
その隣に置いてある髪ゴムは菜沙さんの言っていた、ラベンダー色の髪ゴム。
これを見て、志崎詩音は会わないなどと言っておきながら、なんだかんだ妹のことが好きだったんだなと胸がじんわりとした。
ペットボトルについても特に違和感はないようにおもえるが、呪いについてのこともある、もしかしたら志崎詩音は既に両腕が満足に使えず、わざわざストローをさしているのかもという考察もできる。
リビングの方へ戻り、テーブルの上を見ると、あるものが目に留まる。
机の上に置かれた一冊の冊子と、分厚い封筒と薄い封筒。
まずは分厚い封筒を開けると、中には一万円の札束が入っていた。
おそらく、五百万円ほど。
驚いたまま、薄い封筒を開けると、それは志崎詩音が書いたのだろう手紙――遺書が見つかった。



