以下は『おばあちゃんの知恵袋』という質問サイトに投稿されたものです。

※※※さん

 東北地方で限定販売されたという紫の鏡を探しています。
 ●●という会社で販売されていたようです。
 この会社はそれほど大きくはないですが、玩具や雑貨を中心に販売していたようです。
 情報を求めています。


回答者

※※さん カテゴリマスター ベストアンサー
 子供の頃、しゃべる人形を持っていたけど、その会社名が箱に書いてあったよ。
 宗教法人と関係あるって聞いた。今は倒産した。

※※さん
 紫の鏡って覚えていると不幸になるって話だよね。
 都市伝説とかけたおもちゃ。

※※さん
 誘拐拉致監禁系の宗教では?

※※さん
 人形とセット販売じゃないのかな?
 知育系玩具もやってた会社だよ。


 紫の鏡と言えば、二十歳まで覚えていると不幸になるとかそういう類の都市伝説として有名ですが、●●という会社は都市伝説にあやかって販売していたようです。会社についてネットで検索してもかなり前に倒産していて情報は得られませんでした。そんなに大きくない地方の会社ということもあり、全国的にはマイナーな会社だからかもしれません。

 会社の情報はネット民の記憶の話でしか得られませんでした。
 宗教法人、誘拐拉致監禁など怖い情報が書いてありました。

 以下はネットの掲示板の昔あった不気味なおもちゃについてです。


2本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
マジで怖い人形あったよね。たしか人形とセット売りの鏡だった。マジで紫。


3本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
紫の鏡は都市伝説として有名だからあえて紫にしたらしい。不気味の二倍。


4本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
いわくつきの紅子ちゃん人形の会社でしょ。宗教資金のために会社設立したらしい。


5本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
当時普通に遊んでいたけど、親が処分したみたい。知育機能搭載された鏡だから印象深い。

6本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
障害のある子や手のかかる子を監禁するみたいな宗教の会社でしょ。


7本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
更生目的施設ね。今もある。


8本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
この宗教今もある?情報求む。子ども時代、この会社の人が訪問販売の営業来たことあった。


9本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
知育玩具やドリル売って個人情報集めてたみたい。あの時代個人情報ガバガバだったしね。


10本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
私の友人が行方不明になった。親が知育系に熱心だった。


11本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
ググっても〇〇についてうまく見つからないんで知ってることあったら教えてください。 おねがいします。

12本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
宗教の教祖が逮捕。弟子が宗教法人を継いだらしい。

13本当にあった怖い名無し 2024/11/13(水)
更生施設じゃなく洗脳施設。


 掲示板には少し前に会社について宗教組織だとか、自動更生施設という名の洗脳施設だという書き込みがありました。障害があったり、親が育児が難しい子どもを集めていたようです。

 当時の記事を調べてみると、たしかに、当時東北地方の山奥に自然の家という一見子どものための自然豊かな教育施設があったようです。そこで、キャンプやアウトドアをしながら、自然の中で構成させていく施設だったと古い情報を見つけました。当時は結構話題の施設でマスコミにも取り上げられていて、成果を出したという話もありました。知育系の玩具やドリルのノウハウで、知能指数の高い子ども、考える力のある子どもを育てるという趣旨でした。実際は、学校に馴染めない子ども。つまり、学習障害などで勉強についていけなかったり、発達障害などで困っている親子をターゲットにしたものでした。当時は不良もいる時代だったため、非行少年や少女の親も申し込んだそうです。不良の少年少女はある程度年齢が高いこともあり、腕力もあるため、暴力や力でねじ伏せて更生している様子もマスコミには取り上げられていました。しかし、そんな非行に走った子どもも、なぜか大人しくなったということで全国的に話題となったそうです。それは、暴力での更生かと思われましたが、戻ってきた子どもは皆、宗教法人●●に入信して真面目に宗教活動に取り組んでいたそうです。その結果、いわゆる偏差値の高い大学に入学する子どもも多くいたそうです。真面目に取り組み、いい会社に入社した人もいたそうです。その噂は全国に広がり、学力向上めあてで入会する保護者も多かったようです。

 知育玩具や知育ドリルなどもあったようでネット検索によると多数頭が良くなるとか良い子になるというグッズの古いものが出てきました。あの時代はおばちゃんが科学や学習のドリルを自宅に届けてくれる時代。更に学年別学習雑誌がバカ売れしていた時代だったので、教育熱心な親は買った人もいたようです。ネットはなく口コミで宣伝して、個人情報を得て広告の手紙を送っていたという書き込みもありました。ネットがない分、訪問販売による売る人の人柄で口コミは広がったようです。

 自然の家の卒業生や夏休みなどの短期入会生が真面目になり、勉強に取り組むようになったといういい評判が広がったそうです。通信教育で知育ドリルを買うものが続出したそうです。ドリルは幼稚園前の子ども用から、中学生まで思考力を育てる内容で、大学教授が絶賛などというキャッチコピーが有名だったとか。


 もしかしたら、手がかかる子の最後の砦だったのかもしれません。藁にもすがる思いで知育玩具やドリルを買い、それでもだめならば更生施設に入れた。
 そうなのかもしれません。
 まるで洗脳されたかのように真面目になったそうです。
 しかし、真面目に更生しなかったものは、戻っては来なかったという話でした。
 失踪したということで、親族もあの子なら家出をするだろうというタイプだったため、何も疑問に思わなかったようです。


 気になるブログを見つけました。

『洗脳施設に入れられた話』

 最初はアクセスを稼ぐためのネタなのかと思いました。
 しかし、内容は非常にまじめで、コンタクトを取ってみました。
 以下はブログの内容です。


 あの宗教団体との出会いは、紫の鏡を買ったのがきっかけでした。紫の鏡は人形の付属品でしたが、九九が浮かび上がるものや歴史の年号が浮かび上がるもの、漢字の読み方を覚えるものがありました。両親は喜び何パターンかの鏡を購入しました。高価なものでした。

 両親は教育熱心で私に知育玩具やドリルを買い与えました。一般的なおばちゃんが届けてくれるドリルや雑誌、子供向けの学習教室に行っていました。
 しかし、私は勉強が苦手で普通の方法では、成果は上がりませんでした。親は有名大学卒業だったので、できない理由が理解できないようでした。
 親はテストの点数に激怒し、販売に来た人に相談していました。販売員は優しいおじさんでした。何度も話をしにきて、お菓子をくれるいい人でした。

 夏休みに合宿に参加しないかと言われました。勉強ができるようになるには体力づくりが必要だし、同年代の子どもたちと野外でキャンプをしたり協調性を身につけることがいいと言われました。

 私は参加したのですが、地獄を見ました。優しいおじさんは、豹変してスパルタ教育を始めました。
 昭和時代は愛の鞭という教育法は親たちからも受け入れられる時代でした。
 たとえ愛がなくとも愛の鞭とさえ言えば、いいのです。
 それは子どもたちのためという名目であればどんなことも許されるという空気がありました。

 中には不良と呼ばれるような中学生もいて、その人たちは懲罰を受けていました。おとなしい子どもたちは逆らえず肉体労働をして勉強を強いられました。詰め込み教育でした。ただ暗記をして、覚えられないものは懲罰を受ける。叱責される。叩かれる。恐怖を刻みつけられました。私たちは洗脳されていったのです。

 勉強の内容は宗教についてでした。
 私はなんとか逃げ出して生きてます。
 あのときの仲間で残っている方がいたら連絡ください。


 ただならぬ狂気を感じる文章でした。
 背筋に旋律が走ります。
 ただの創作だといいのですが……。昭和五十年代に起こった事件を調べてみました。

 宗教団体 逮捕 子ども 合宿

 キーワードを入れてみました。

 ●●会社の社長が設立した教育宗教団体 摘発される。記事を見つけました。
 失踪した子どもについて保護責任を問われたけれど、本人が失踪したということで、いくら調べても何もでてこなかったそうです。親の中には施設に対して不信感を持ったものがいて、保護者で団体を作って抗議したと書いてありました。

 先程のブログの主さんにメッセージを送ってみました。
『ホラー小説家の響ぴあのです。ウェブ中心で活動をしており、怖い事件などについて調べております。実は幼少期に購入したしゃべる人形について調べておりました。その人形を作った会社について色々出てきたため、詳細を知る人がいないか探しておりました』

 すると、数時間後にフリーメールアドレスでメッセージが返ってきました。

『こんにちは。ここに書いた内容は本当ですが、個人を特定されたくないので、素性をお話しすることはできません。しかし、被害者の方々と繋がりたいという思いから思い切ってブログを開設しました。あの宗教団体は形を変え、名前を変えて今もどこかで密かに活動しています。私は子ども心に傷を刻まれたことを許せません。社長が逮捕された事件はありましたが、本当の教祖は今も健在ではないでしょうか』

 本当の教祖。今までは宗教団体の代表が会社の社長だったと思っていましたが、それは違うのでしょうか。

『紅子ちゃん事件についてもご存知であれば教えてください』

『紅子ちゃんは軽度の知的障害がある子どもでした。会社社長の令嬢で裕福でしたが、親が知的障害を治したくて知育玩具を発売したと聞きました。全ては子どものため。しかし、知的障害は治るものではなく、将来会社を継いでほしいと思った両親は娘を部屋に閉じ込めました。それが監禁殺人事件になったのです。両親はもう一人娘がいたので、その子どもに期待していたようです。紅子ちゃんは残念ながら亡くなってしまいました。人形の声は紅子ちゃんの姉妹である女児の声だと思います。今もどこかで紅子ちゃんの姉妹が生きていると思います』