男性に抱きしめられながらも、椿は不思議に思っていた。
(知らない人のはずなのに、どうしてこんなにも落ち着くんだろう…?)
見知らぬ男性のはずなのだが、何故だか椿は知っているような、そんな感覚をおぼえた。
着物を着た和服の男性は、椿からゆっくりと身体を離した。
「すまない、苦しかったか?」
「え?あ、い、いえ…」
「そうか」
椿の顔を見て、何故か愛おしそうな表情を浮かべる男性。
「あの、…どこかで会ったことがありますでしょうか…?」
椿は恐る恐る質問を口にする。
しかし男性はゆるりと首を横に振った。
「こうしてちゃんと会うのは、今日が初めてだ」
「……?そう、ですか…?」
椿にはなんとなく知っているような感覚があったので、自分自身もそれを忘れているだけだと思ったのだが、どうやら初対面のようだった。
「あの、助けてくれてありがとうございました…。私、もう帰らないといけないので…、し、失礼しますっ」
椿はまた一礼して、くるっと身を翻した。
「あ、」
後ろで男性の引き止めるような声が聞こえた気がするが、一刻も早く自宅に帰らなくてはならない。
恐らく母親はかなりご立腹であると思われる。
しかしどんなに帰りたくないと思っていても、今の椿の居場所はそこしかなかった。
「早く、早く帰らなくちゃ…」
帰りたくないと思う心が時たま足をもつれさせたが、椿はようやく境内からの階段を降りきり、歩道へとやってきた。
しかしそこで違和感を感じた。
雪が積もっているせいなのか、夜なのに辺りが明るく感じるのもあるからなのか、なんとなく普段歩き馴れている道ではないような気がしたのだ。
「あれ……?この畑って、この前家を建てていなかったっけ…」
椿の住む街は自然豊かで、田んぼや畑の多い地域である。
しかしそんな地域であっても、少しずつ緑や自然が失われ、田んぼや畑のあった場所には、次々と家が建設されていた。
だというのに、辺りには田んぼや畑が多く、高い建物や住宅が一切ないように思われた。
不思議に思いながらも、椿は急いで自宅への道を歩いた。
(この角を曲がれば、うちの明かりが見える…)
憂鬱な気持ちをぐっと堪えて、椿は十字路の角を曲がる。
しかし。
「え……?」
そこには何もなく、ただただまっさらな土地が存在するだけだった。
椿の住んでいるアパートは影も形もなかった。
(道、間違えた…?そんなわけない。生まれてからずっとあの家に住んでいるんだもの)
しかし辺りを見回してみても、見知った建物がない。
(確かにこの角の先のはずなのに…)
寧ろ知らないお店がまばらにある。
椿はもう夜で閉店してしまったらしい、お店らしき建物を見て回る。
(ここは八百屋さん?隣は駄菓子屋さん、かな?畳屋さんなんて初めて見た…)
椿は小一時間ほど、自宅のあるはずの周辺をふらふらと歩き回ってみたのだが、自宅のアパートは見つからなかった。
そこに一人の中年男性が通りかかった。スーツ姿に杖を持ち、中折れ帽を被った品の良さそうな男性だ。
普段の椿なら声を掛けたくてもなかなか掛けられずもたもたとするのだが、混乱していた椿は慌ててその男性に駆け寄った。
「す、すみません…っ」
椿が声を掛けると、男性は不思議そうに立ち止まった。
「あ、あの、こちらにアパートがあったかと思うのですが…」
椿は開けた土地を指差しながら、懸命に説明する。
しかし男性は首を捻った。
「あぱあと?なんだそれは。そんな名前のもの、聞いたこともないが…」
「え……?」
椿が固まってしまうと、男性は不審そうに首を傾げながら「失礼するよ」とその場を去ってしまった。
(アパートが、ない……?)
椿はますます混乱に陥る。
(どうしよう…この歳で、迷子になっちゃったのかな…)
椿はスーパーのある駅の方の交番に向かうことにした。
きっと母親にはものすごく怒られるだろう。けれど、このまま帰れないのも困る。
椿は仕方なく、交番の警官に頼ることにしたのだ。
(もしかしたら家まで送ってくれるかもしれないし、お母さんに電話してくれるかもしれない)
椿はしんしんと雪の降りゆく中、駅へと向かった。
しかし。
「交番が……ない……?」
そこにあるはずの交番がなかったのだ。
先程スーパーに買い出しに行って、その際も目の前を通ったはずなのだが、そこには影も形もないではないか。
それどころか、街のようすがまったく見たことのない場所になっていた。
華やかなネオンライトの看板は一切なく、ぽつぽつと提灯の明かりが灯っているくらいだった。
美味しそうなおでんの香りが漂ってきて、椿のお腹がぐーっと鳴った。
(これは、どういうこと…?まるで社会の教科書で見たことのある、昔の時代みたいな…)
そんな景観が続いていた。
椿は混乱しながらも、来た道を戻った。
椿が住んでいた街とは何もかもが違って、しかしそこで椿ははたと気が付く。
「そうだ…神社…!神社に行こう!」
あの寂れた神社だけが、唯一椿の知っている場所であり、変わらず同じ場所に存在していた。
椿は歩き疲れふらふらになりながらも、寂れた神社へと戻って来た。
鳥居を見上げ、境内へと続く階段を駆け上がる。
「はぁ、はぁ……」
(さっきの人がまだいるかもしれない)
何かがおかしいと感じた椿は、さっきの人に話を聞こうと考えた。
境内へとやってきて、ぐるりと辺りを見回す。
雪の降り積もるそこには、二人の男性の姿があった。
装束を見に纏ってはいるが、二人共まだ若そうに見える。それこそ椿と同じくらいの齢ではないかと思われた。
(あ…、さっきの人じゃない……)
先程の優しそうな男性ならば、椿の話を聞いてくれるのではないかと思ったのだ。
この神社の禰宜か何かだろうか。
椿は声を掛けようとして少したたらを踏んだ。
黒髪の男性と白髪の男性は、椿の足音に気が付きこちらを振り返った。
黒髪の男性は少し目つきがきつく睨むように椿を見、白髪の男性は打って変わって穏やかそうな笑みを浮かべた。
「ようやく戻ってきたのか」
「おかえりなさい」
「え……?」
まるで知らない二人からそんなことを言われて、椿は目を丸くする。今日は驚いてばかりだ。
椿は勇気を出して二人の男性に問い掛けた。
「あ、あの!ここは、どこなのでしょうか…?」
二人の男性は一瞬きょとんとした表情を見せたが、黒髪の男性がぶっきらぼうに言葉を投げる。
「どこって、決まってるだろ。龍神様を祀る、龍水神社だ」
「あ、それは分かっているのですが、」
「は?」
黒髪の男性に睨まれ、椿はびくりと肩を揺らした。
そんな椿のようすを見て、白髪の男性が黒髪の男性を宥める。
「こらこら黎、椿様が怯えていらっしゃるでしょう?すみません、こいつ言葉遣いがなっていなくて…」
白髪の男性の謝罪を聞きながらも、椿はとある点だけが気になっていた。
「あ、あの…今、名前……」
(私のこと、椿様って…名乗っていないはずなのに…)
どうして名前を知られているのだろうか。
椿は目の前の男性二人から少し距離を取った。
「あらま、怖がらせちゃったか」
「はっ、冥だって人のこと言えなかったな」
黎と呼ばれた黒髪の男性が、冥と呼ばれた白髪の男性を小突いた。
するとそこに。
「ああ、椿。ようやく戻ってきたんだね」
おっとりとした空気を身に纏いながら、先程会った白縹色の長髪の男性がやってきた。
「あ、さっきの…」
見れば見るほど見目麗しい男性は、椿ににこりと微笑んだ。
「「水司祢様」」
先程まで賑やかだった黎と冥は一歩下がり、水司祢と呼ばれた男性に頭を下げる。
水司祢はおっとりとした足取りで椿の前へとやってくると、その手を取って歩き出す。
「さあさあ、寒かったろう?早く身体を暖めないと」
「え、え?あのっ…」
椿が戸惑っている間にも、水司祢はさっさと歩いていってしまう。
境内にある社務所へやってくると、その中に案内される。
そこは思ったよりもかなり広く、アパート住みの椿には一軒家のことは分からないが、お屋敷のようだと思った。
(社務所ってこんなに広かったんだ…)
いつも社務所の前のベンチに腰を降ろしてはいたのだが、奥の方は木々に埋もれて、しっかりとその姿を見たことはなかった。
「さあ、椿。ゆっくりと温まるんだよ」
そう言って通されたのは、お風呂場だった。
「え?あ、いや、あの、」
戸惑う椿を優しく撫でた水司祢は、「話はあとでゆっくり聞くからね」と言って、どこかに言ってしまった。
一人ぽつんとお風呂場に残された椿は暫しそこで躊躇していたのだが、ここで水司祢を追いかけたところで話を聞いてくれそうもなかったため、渋々お風呂をいただくことにした。
(他人家でお風呂に入るなんて、すごく変な感じ…)
そもそもここは神社の社務所であるので、余所様のお家、と呼称するのもおかしいとは思うが、身体の芯から冷え切っていた椿にとってはかなり有難かった。
(今は分からないことだらけだけれど、悪い人たちではなさそう…。しっかりと話を聞いてみよう)
お風呂にゆっくりと浸かって温まった椿は、脱衣所に置かれていた浴衣に身を包み、その上から厚手の羽織を身に着ける。
(わあ、和服なんて初めて身に着けたかも)
こんな状況で場違いな感想だと思いつつも、椿は落ち着きを感じた。
椿が社務所内を迷子になりながら歩いていると、先程の黒髪の男性、黎と呼ばれていた男性に遭遇した。
「あ、」
「あ、」
少し気まずそうに目を逸らした黎は、ぶっきらぼうに言葉を投げる。
「なんでこんなとこにいるんだよ。水司祢様を待たせるな」
キッと睨まれて、椿は身を縮こまらせる。
「ご、ごめんなさい…」
怒られ続けて生きてきた椿は、すぐに謝罪の言葉が飛び出してしまう。
黎はばつが悪そうに、「別に謝らなくてもいいけど」ともごもごと呟く。
「ついてきて」
「は、はい!」
黎が踵を返すので、椿はその後を慌てて追った。
社務所内の一室、一際広い和室へと通されると、真ん中には囲炉裏端がありそこで煮える鍋からものすごくいい香りがした。
途端、椿のお腹がぐぐぐ~と大きな音を鳴らした。
鍋のようすを見ていた水司祢が、にこりと振り返った。
「ああ、椿。しっかりと温まったかい?」
「は、はい」
「こちらにおいで」
水司祢が手招きする座布団へと腰を降ろすと、大きな木の皿に湯気の立ち昇る具材がよそわれる。
その横で炊き立ての白米を茶碗に盛っていた白髪の冥が、「どうぞ、椿様」と言ってその白米を椿の前に置いた。
「あ、ありがとうございます…」
黎がなんだか気まずそうに椿の左隣に腰を降ろすと、ご飯の支度を終えた水司祢と冥もそれぞれ椿の右隣と正面に腰を降ろした。
「いただきます」と手を合わせた三人が和やかに食事を始める。
「おおっ、水司祢様!今日の肉うまいっすね!」
黎が嬉しそうに声を上げれば、水司祢も満足そうに首を縦に振る。
「そうだろうそうだろう。領主より献上されたものだが、なかなかいい物を寄越したものだ」
黎と冥はがつがつと白米と鍋を口に放りこんでいく。
食事に手を付けようとしない椿に気が付いた水司祢は、椿の顔を覗き込んだ。
「椿?食べないのかい?もしかして、牛鍋は好きじゃなかったかな?」
不安げに眉を下げる水司祢に、椿は慌てて首を横に振る。
「あ、いえ、そうではなくて…」
椿は思い切って切り出した。
「あの!ここは、どこなんでしょうか!」
椿がいつも通っていた龍水神社ではある。
がしかし、その周辺の景色や街の建物などが見たことのないものになっていた。
どこもなんだか古めかしい建物に、緑に囲まれた穏やかな町。
(まるで、昔の時代の町並みみたいな…。そう、……タイムスリップでもしたかのような…)
椿がそんなことを思っていると、水司祢は椿に告げた。
「椿、今貴女が思っている通りだ」
「…え?」
「ここは1875年、明治時代の龍水神社。この世界は、貴女が生きていた時代のはるか昔の時が流れる世界だ」
椿は呆然と水司祢の言葉を脳内で反芻する。
(この世界が、明治時代の日本…?そんなことって……)
あるわけがない。
とは椿には言い切れなかった。
先程見てきた街のようすや、自宅のようすからして、全く見たことのない建物ばかりであった。
どこか古めかしいその町や建物は、昔の時代と言われれば納得のいくようなものばかりで…。
混乱する椿に、水司祢は優しく声を掛ける。
「戸惑うのも無理はない。急にこの時代にやってきたのだから」
「か、帰る方法はないのでしょうか?」
前のめりになって尋ねる椿に、水司祢は目を丸くする。
「帰りたいのかい?」
「か、帰りたいです!」
「どこに?」
「え?」
「椿の帰りたい場所ってどこだい?まさか、椿を粗雑に扱うような母親のいる家じゃないだろうね?」
「……っ」
椿は言葉に詰まる。
(この人の言う通りだ。私、どこに帰りたいんだろう?あの家には、私なんていない方がいい。お母さんのストレスになるだけだってわかっているのに)
散々罵倒され、虐げられてきた。
そんな家に、わざわざ帰る必要があるのだろうか。
水司祢は幼い子に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「それにこれは、椿が望んだことでもあるんだよ」
「私が…?」
「ああ。貴女はこの神社で願っただろう?『幸せになれる世界に連れて行ってください』と」
「あ……」
確かにそれは、椿が願ったことだった。
この世界に椿の幸せになれる場所なんてない。
それならば、どこか幸せになれる世界に連れて行ってほしい、と。
水司祢は椿に慈愛に満ちた笑みを向ける。
「だから私はその願いを叶えたのだ。この世界こそが、貴女が幸せになれる世界だ」
「願いを叶えるなんて、そんなこと…」
水司祢の金色の瞳がきらりと怪しげに光った。
「貴方は、一体……」
椿の質問に答えたのは、隣に座る黎だった。
「お前、本当に何も知らないんだな。水司祢様は、この龍水神社に住まう、龍神だぞ?」
「へ…?神、様……?」
「そんなことも知らずにこの神社で毎日毎日ぐちぐち言ってたのかよ」
「なっ…」
黎の言葉に、椿は顔を真っ赤にする。
そこに冥がまた助け船を出してくれた。
「こら、黎。そんな言い方ないだろう?椿様にとって水司祢様が唯一の話相手だったのだから」
「うっ…」
椿は更なるダメージを受ける。
確かに、小さい頃からこの龍水神社にやって来ては、ひたすらにいるかも分からない神様に話し掛けていた。
(それを知っているってことは、やはり本当に……?)
水司祢は静かに口を開く。
「あの時代で毎日のようにこの神社に来てくれていたのは、椿、貴女だけだ。私はずっと貴女を見守っていた。だからこそ、貴女が願うのを待っていたのだ」
『幸せになれる優しい世界に連れて行ってください』
龍水神社の神である水司祢は、その椿の願いを聞き届けた。
(そう、だったんだ…。神様は本当にいたんだ…私のこと見守ってくれてたんだ…)
じわりとその瞳に涙が滲む。
(ここが、私が本当に幸せになれる世界なの…?私は、幸せになっていいの…?)
水司祢はその心を読んだかのように、優しく椿の手を取った。
「椿、貴女はここで幸せになるのだ」
「幸せに…」
「私の妻として」
「……妻?………妻っ!?」
続けられた言葉に、椿は驚いて水司祢を見つめる。
「椿、私は貴方を妻として迎えたい。遠い先の世界で私を支えてくれたのは、貴女だけだ。今度は私が貴方を幸せにしよう」
水司祢の言葉をうまく咀嚼できない椿は、口をぱくぱくさせるばかりである。
「ああ、そういえば紹介がまだだったね。椿の左隣に座っている黒髪の方が黎、向かいの白髪の方が冥だ」
「あ、はい…」
先程からのやり取りで二人の名前は知っていた。
そんなことよりも、先程の水司祢の妻発言が気になって仕方がない。
「椿は二人のこともよく知っているだろう?」
「え?」
水司祢に話を振られ、思考が中断する。
「彼らは私の使いであり、妖狐だ」
「妖狐……?あ、」
(もしかして、神社の境内の入口にいるお狐様?)
「雪の降る日、寒そうだと言って、椿様は僕達に襟巻を巻いてくれたね」
「俺の足元に0点のテスト隠したこともあっただろ?」
冥と黎の話に、椿は幼少期の出来事を思い出す。
「そ、その節はっ、…本当にすみません…」
恥ずかしさから顔を上げられなくなった椿に、水司祢は嬉しそうに笑う。
「さあ、椿。ご飯が冷めてしまうよ。たんとお食べ」
「あ、えっと…い、いただきます……」
正直言うと、歩き通しでかなりお腹が空いていた。
家でも何も食べずに買い物に出たため、お昼から食べていなかったのだ。
つやつやとして真っ白な米を口に運ぶと、自然と顔がほころんだ。
温かな鍋のスープで、身も心も温まっていくような感覚をおぼえた。
(こんなに美味しいご飯を食べたのは、いつぶりだろう…)
普段から母のためにご飯を作り、椿は節約のためその残りを食べていた。
お昼ご飯は毎朝自分で握った小さなおにぎり一つだったし、これほどにお肉も野菜もたっぷりなお鍋を食べたことはなかったかもしれない。
椿の食べているところをじっと見ていた水司祢は、椿に問い掛ける。
「お口に合ったかな?」
「はい!美味しいです」
「それはよかった。好きなだけ食べるといい」
水司祢があまりに椿を見つめてくるので、少々食べづらくはあったが、椿は久しぶりにお腹いっぱいにご飯を食べたのだった。
満腹になると、急に眠気がやってきた。
とある小さな一室に案内された椿は、そこで眠ることになった。
畳の上に敷かれたふかふかの布団に、お日様の匂いのする掛布団。
(こんなに贅沢させてもらっていいのかな…)
今にも瞼の落ちそうな椿は、それでも必死に考える。
(ここは本当に私の住んでいた世界じゃないんだ…。私を知っている人は、誰もいないんだ)
厳密には水司祢や黎、冥がいるのだが、彼らを『人』と呼称していいものだろうか。
目を瞑ると、通いなれた龍水神社の境内が網膜に映る。
(水司祢様…、本当に私の願いを叶えてくれたんだ。それに、幸せにする、だなんて…)
水司祢は本気で椿を妻に迎えようとしているようだった。
(神様の奥さんって、何をしたらいいんだろう?どんな役割があるんだろう?)
朝起きたら、やっぱり今日のことは夢で普通に自宅の布団で目を覚ますのかもしれないな。
そんな風に思いながら、椿は眠りに落ちて行った。
穏やかで優しい夜だった。
誰かが優しく椿の頭を撫でてくれているような、そんな心地がして、椿はぐっすりと眠った。