今朝は目覚めが良かった気がして、清々しい気持ちで仕事を始めた。
今日こそは、みるみるさんのガチャガチャを見つけて回すのだ。…三回。
そう思って仕事をしていると、お昼になった。
「小桜、お昼にしよ」
「もうそんな時間?じゃあそうしよう」
今日はコロッケパンといちごデニッシュを買って、椅子に腰かけた。
「柚葉ちゃんのお子さん、風邪大丈夫?」
私は、コロッケパンをかじってそう訊いた。昨日は大変そうだったが、今日はどうなのだろう。
「まだ熱出てるんだけど、もうそろそろ熱も下がってきそう。ありがと、心配してくれて」
柚葉ちゃんは申し訳なさそうにこちらを見てから、さけおにぎりをかじった。
「ううん。そんなお子さんにこれ、あげるね」
私は小さな紙袋を柚葉ちゃんに手渡した。
「家にたまたまあったゼリーなんだけど、食べれるかな?賞味期限はまだ持つから大丈夫だよ」
「え、くれるの!?そんな、何にもしてないよあたし!本当ありがとう、 㐂禾(ななか)も喜ぶよ」
㐂禾りんご好きなんだよ、と、柚葉ちゃんが嬉しそうに紙袋の中を覗いている。
りんご味とぶどう味とフルーツがたくさん入ったものをそれぞれ一つずつ持ってきた。
闘病中の母親に持って行ってみたものの、あまりお気に召さなかったゼリーなのだが、食べてみたら美味しかったので、喜んでもらえてよかった。
「㐂禾の風邪が治ったら、また晩ごはん行こ。お返しするものがない…」
「きっと私より柚葉ちゃんの方が忙しいと思うし、お返しなんていいよ。よかった、喜んでもらえて」
そうだった、柚葉ちゃんの女の子のお子さんの名前は、㐂禾ちゃんだった。可愛い名前だ。
柚葉ちゃんは、忙しいなりに、ちゃんと愛情をもって大切に育てているのがわかる。
何回か会ったことがあるので、またお子さんたちと会いたいな、なんて思った。
お子さんの話をしていると、ふと私はこう口を開いた。
「あの、柚葉ちゃん」
「ん?何?」
「十八歳、ってどんな感じだった…?」
「…は?」
私は、十八歳のみんなが深雪くんのように大人びているのかが気になってしょうがなくて、そう言ってしまった。
そりゃあ、は?ってなりますよね。突然どうしたんだろう、この人って。
「えっと、昨日かくかくしかじかあって…」
私は昨日のことを一通り話した。柚葉ちゃんは表情をコロコロと変化させ、興味深そうに私の話を聞いてくれた。