「あの、かっこいい店員さん」
私は少しみるみるさんのイラストを見て癒されてから、そう呼んだ。
「え、僕のことですか?」
あ、口に出しちゃった…。
かっこいい店員さんは、目を丸くして、まさかという風に答えた。
「そうです、ごめんなさい…つい、そう呼んでしまって…」
私が手で顔を覆っていると、かっこいい店員さんが、
「ふはっ、そんなかっこよくないですよ。別に大丈夫ですけど、それにしてもおもしろ」
と言って笑った。
「もう一杯、デトックスウォーターをもらいたいんですけど…」
「わかりました。ふふ、かっこいい店員さんって…」
「あんまり何回も言わないでください…」
どうぞ、と言って、もう一度デトックスウォーターが自分の前に置かれた。
すると、かっこいい店員さんが、私にこう話した。
「僕は、羽生深雪。十八歳です。好きなように呼んでください」
十八歳、ということに驚いた。きっと大学生で、ここにアルバイトしに来ているのだろう。
「私は、鈴鳴小桜です。二十五歳、七つも離れてるんだね…。私も、ただのお客さんだけど、好きなように呼んでください。また来るので」
深雪くんは、また笑顔になって、カウンターに頬杖をついた。
「じゃあ、小桜でもいいの?僕が年下だけど、そう呼んでいい?」
…なんてずるいんだ、この子は。
なんか将来が心配だよ、生きるのめっちゃ上手そう。
「…ふはっ!冗談です、小桜さんって呼ぼうかな。でも、たまにはタメ口でもいいですか?」
「うん…いいよ…」
「なんでそんな変な顔になってるんですか」
なんだか、とんでもないことになりそうだ。
「深雪くん。この先に、ネオン街みたいなのがあるよね。あそこは何なの?」
私はそう訊ねた。どうしてこのカフェは、あのネオン街と一線を画しているように見えるのかも不思議だった。
「あれは、飲み屋街。昼間は静かだけど、まだ騒がしい夜の名残みたいなのがあって日中も入りづらい」
やはり飲み屋さんだったのか、と、あの数の鮮やかな光に納得する。
「このお店は、そっち側じゃないんだね。このお店がこっち側の最後みたい」
「うん。まぁ、この店より先に進んだらちょっと、みたいな感じはあるんじゃないですかね。夜が暗いのは、この店までだから」
夜が暗いのは、ここまで。
確かにそうだった。
「でも、夜営業なの?」
「そうだけど、安全面というかが圧倒的に違うでしょ」
「そうか、そうだね」
このお店が、私の安心して過ごせる居場所みたいに思えた。
私は少しみるみるさんのイラストを見て癒されてから、そう呼んだ。
「え、僕のことですか?」
あ、口に出しちゃった…。
かっこいい店員さんは、目を丸くして、まさかという風に答えた。
「そうです、ごめんなさい…つい、そう呼んでしまって…」
私が手で顔を覆っていると、かっこいい店員さんが、
「ふはっ、そんなかっこよくないですよ。別に大丈夫ですけど、それにしてもおもしろ」
と言って笑った。
「もう一杯、デトックスウォーターをもらいたいんですけど…」
「わかりました。ふふ、かっこいい店員さんって…」
「あんまり何回も言わないでください…」
どうぞ、と言って、もう一度デトックスウォーターが自分の前に置かれた。
すると、かっこいい店員さんが、私にこう話した。
「僕は、羽生深雪。十八歳です。好きなように呼んでください」
十八歳、ということに驚いた。きっと大学生で、ここにアルバイトしに来ているのだろう。
「私は、鈴鳴小桜です。二十五歳、七つも離れてるんだね…。私も、ただのお客さんだけど、好きなように呼んでください。また来るので」
深雪くんは、また笑顔になって、カウンターに頬杖をついた。
「じゃあ、小桜でもいいの?僕が年下だけど、そう呼んでいい?」
…なんてずるいんだ、この子は。
なんか将来が心配だよ、生きるのめっちゃ上手そう。
「…ふはっ!冗談です、小桜さんって呼ぼうかな。でも、たまにはタメ口でもいいですか?」
「うん…いいよ…」
「なんでそんな変な顔になってるんですか」
なんだか、とんでもないことになりそうだ。
「深雪くん。この先に、ネオン街みたいなのがあるよね。あそこは何なの?」
私はそう訊ねた。どうしてこのカフェは、あのネオン街と一線を画しているように見えるのかも不思議だった。
「あれは、飲み屋街。昼間は静かだけど、まだ騒がしい夜の名残みたいなのがあって日中も入りづらい」
やはり飲み屋さんだったのか、と、あの数の鮮やかな光に納得する。
「このお店は、そっち側じゃないんだね。このお店がこっち側の最後みたい」
「うん。まぁ、この店より先に進んだらちょっと、みたいな感じはあるんじゃないですかね。夜が暗いのは、この店までだから」
夜が暗いのは、ここまで。
確かにそうだった。
「でも、夜営業なの?」
「そうだけど、安全面というかが圧倒的に違うでしょ」
「そうか、そうだね」
このお店が、私の安心して過ごせる居場所みたいに思えた。



