「…深雪くん!お花、見てみない?」
私は花屋を見つけ、すぐ深雪くんにそう言った。
「見ます!花は着色にも使えるし、インパクト出ると思います。いい花見つけたら、お取り寄せすればいいし」
深雪くんもすぐ花屋に行くことに賛成してくれて、私たちはカラフルな花が並ぶ店内に入った。
白いスイーツに映えるものはないか探すつもりで来たけれど、つい見とれてしまうほどの花の綺麗さ。
私も深雪くんも、しばらく花を眺めていた。
「綺麗だね…」
「綺麗、すぎる…。僕、花屋初めて来たかも」
黙ってその花たちを見つめていると、店員さんが話しかけてきてくれた。
「花の用途や色などを言っていただければ、いいお花を提案できますよ」
私はすぐ、
「白に似合う色のお花って、ありますか?ある程度小さい、これくらいの…」
と、店員さんに尋ねてみた。
店員さんは、少々お待ちくださいと言って、三つの花を持って来てくれた。
「これはアナベルというお花です。小さい花がたくさんついているようで可愛らしいかと思います」
ピンク色のアジサイみたいな、可愛らしい花。
これくらい小さければ、飾りとして散らしたり、添えてもいいかもしれない。
「こちらはパンジー。赤色がはっきりとしているし、色々なものに使えますよ」
確かに、添えたらインパクトがありそうなはっきりした色み。
他にもたくさん色があるようなので、色違いで作ってみても面白そうだ。
「最後は、ブルースター。そこまで有名ではありませんが、水色が可愛く花言葉でも人気でして、ご購入される方は少なくないんです」
「ブルースター…」
私は、その健気な花に一目惚れした。
ドレスのように綺麗で優しい水色、微笑むように咲く小さな花。
白とぴったりな、私が探していた花だった。
「僕、これが欲しい」
どうやら、深雪くんも私と同じで、ブルースターを気に入ったようだ。
「私も、この花がいいと思った。この花束、買います」
「お求めの花が見つかったようでよかった!カードを付けてお渡ししますね」
私と深雪くんは、お店に置く用で、ブルースターの花束を買った。
店員さんに食用のものがあるか尋ねてみたところ、ネットで売っているようなので、深雪くんが後で取り寄せるらしい。
「いいお花買えてよかったなー!」
私はそう言いながら、自ら持ちたいと言った花束を抱えて歩いていた。
「よかったね。もう僕、花屋いる間に大体のスイーツのイメージ描けたから、後は試作だけです」
ほら、と言って、深雪くんがスイーツのイメージスケッチを見せてくれた。まさか、花屋にいるときにそんなことまでしてくれていたとは。
それはミルクプリンが使われたミニパフェで、他のホイップクリームやバニラアイスなどの白色の層が映えるように、ブルースターが添えられている。
見るだけで可愛くて、幸せなパフェだ。
「じゃあ、試作品食べさせてね。私の家に持ってきてよ」
「持っていきますよ。言われなくても」
そんな話をしながら、私たちは駅で別れた。
それから、あまり使っていなかった深雪くんのトーク画面に、私はブルースターの花束の写真を送った。