乃糸ちゃんと出会った日からまた少し日がたち、私はDETOXに行く日、柚葉ちゃんに乃糸ちゃんの話をした。
しっかり話を聞いてくれた柚葉ちゃんは、乃糸ちゃんのことでモヤモヤするという。
「どー考えても不自然でしょ。だって、急にその日会って連絡先交換だよ?ただの店員さんの幼馴染と」
「確かにそうだけど…」
「しかも出会いは最悪なわけじゃん。で、その深雪くん?は、わざわざ耳元で帰ってって言うほど、乃糸ちゃんのことを過保護って思ってるんだよ?」
「うーん…。でもみるみるさんのことが好きって言ってたから共通の趣味もあるし」
「そうかもしれないけど、絶対まだ小桜のこと疑ってて、深雪くんが変なことに巻き込まれないように企んでるんだよ」
でも、あの日はたくさん話してくれて、そんな企みがあるようには思えない。
それもあるけれど、一番は信用されていなくて少し悲しいことだが。
「あと、小桜が言う制服の特徴だと、その子、花見女子学園の生徒じゃない?」
花見女子学園、とは、都内でもトップを誇る名門中高一貫女子校だ。
頭の良い女子生徒がいることはもちろん、良い家柄のお嬢様と呼ばれるような女の子たちも通う、私にはとてもじゃないけれど手の届かなかった学校。
「それだったら、本当に頭が良くてすごいよね…」
恐る恐るホームページを見てみると。
乃糸ちゃんが着ていた制服と、見事に一致。
「…これは、やばいな」
柚葉ちゃんが、ぼそっとつぶやいた。
「これは、やばいね」
私も続けて、そうつぶやいた。
どうしよう。
これから、どんな風にメッセージを送ればいいのだろうか。
私はそんなこんなで、DETOXに入店した。
すると、いつもならあるはずの影が一つ、消えていた。
「こんばんは、らーさん」
「こんばんは、いらっしゃいませ」
「あの、今日は深雪くん来てないんですか?」
私はマスターのらーさんにそう声を掛ける。
らーさんは、あー…、と少し戸惑ったような表情をして、こう言った。
「今日は一度も顔を出してないんですよ。…実は昨日あたりから」
「…え?体調不良とか、ですか?」
らーさんは苦笑いで、
「ううん、きっと違う。連絡もくれてないんでね。…不安定な子なんですよ。小桜さんが来てから、こういうことはなかったんだけど、久しぶりにこうなった」
と、俯いてカップを拭きながら言った。
大丈夫、なのかな。
「まぁ、心配する必要はないですよ。あいつのことだし、また戻って来ますから」
「そう、なんですね…」
戻って来る。そう言われても、どうしてもそうは思えない。
不安定な子。たまに見せる寂しげな笑顔と、何か関係があるのだろうか。
私はふと、スマホを持った。
「らーさん、ごめんなさい。また深雪くんが来たら、私も来ます」
「あら、残念。また来てくださいね」
らーさんには申し訳なかったが、私は駆け足で駅に向かった。
しっかり話を聞いてくれた柚葉ちゃんは、乃糸ちゃんのことでモヤモヤするという。
「どー考えても不自然でしょ。だって、急にその日会って連絡先交換だよ?ただの店員さんの幼馴染と」
「確かにそうだけど…」
「しかも出会いは最悪なわけじゃん。で、その深雪くん?は、わざわざ耳元で帰ってって言うほど、乃糸ちゃんのことを過保護って思ってるんだよ?」
「うーん…。でもみるみるさんのことが好きって言ってたから共通の趣味もあるし」
「そうかもしれないけど、絶対まだ小桜のこと疑ってて、深雪くんが変なことに巻き込まれないように企んでるんだよ」
でも、あの日はたくさん話してくれて、そんな企みがあるようには思えない。
それもあるけれど、一番は信用されていなくて少し悲しいことだが。
「あと、小桜が言う制服の特徴だと、その子、花見女子学園の生徒じゃない?」
花見女子学園、とは、都内でもトップを誇る名門中高一貫女子校だ。
頭の良い女子生徒がいることはもちろん、良い家柄のお嬢様と呼ばれるような女の子たちも通う、私にはとてもじゃないけれど手の届かなかった学校。
「それだったら、本当に頭が良くてすごいよね…」
恐る恐るホームページを見てみると。
乃糸ちゃんが着ていた制服と、見事に一致。
「…これは、やばいな」
柚葉ちゃんが、ぼそっとつぶやいた。
「これは、やばいね」
私も続けて、そうつぶやいた。
どうしよう。
これから、どんな風にメッセージを送ればいいのだろうか。
私はそんなこんなで、DETOXに入店した。
すると、いつもならあるはずの影が一つ、消えていた。
「こんばんは、らーさん」
「こんばんは、いらっしゃいませ」
「あの、今日は深雪くん来てないんですか?」
私はマスターのらーさんにそう声を掛ける。
らーさんは、あー…、と少し戸惑ったような表情をして、こう言った。
「今日は一度も顔を出してないんですよ。…実は昨日あたりから」
「…え?体調不良とか、ですか?」
らーさんは苦笑いで、
「ううん、きっと違う。連絡もくれてないんでね。…不安定な子なんですよ。小桜さんが来てから、こういうことはなかったんだけど、久しぶりにこうなった」
と、俯いてカップを拭きながら言った。
大丈夫、なのかな。
「まぁ、心配する必要はないですよ。あいつのことだし、また戻って来ますから」
「そう、なんですね…」
戻って来る。そう言われても、どうしてもそうは思えない。
不安定な子。たまに見せる寂しげな笑顔と、何か関係があるのだろうか。
私はふと、スマホを持った。
「らーさん、ごめんなさい。また深雪くんが来たら、私も来ます」
「あら、残念。また来てくださいね」
らーさんには申し訳なかったが、私は駆け足で駅に向かった。



