思ったよりも早く、スイーツたちは私たちの前に輝きを増して登場した。
りんごのコンポートは、タルト生地がお皿の代わりになるようにして、素朴だが可愛らしい見た目だった。
その頂にそびえ立つ一絞りのクリームは、淡い色合いのりんごをドレスとして纏っているようにも見える。
「ありがとう。いただきます」
乃糸ちゃんはりんごのコンポートを一口、タルト生地もすくってほおばった。
私の元へ届いたカシスとピスタチオのケーキも、豪華な見た目。
たったのこの二色が、どうしてこんなにも上品なのだろうか。
ピスタチオムースの厚い層の上に、薄いスポンジを挟んで、上段にはまた厚いカシスゼリーがまるで宝石だ。
「私も、いただきます」
小さな円柱型のケーキを、私もカシスゼリーから口へ運んだ。
「…じゅわって、りんごから蜜が溢れてくる」
乃糸ちゃんは、深雪くんを見てそうつぶやいた。
「美味しい?乃糸ちゃんは甘い物好きだから、いいと思うけど」
「美味しい…ここまで来た甲斐があった…」
キラキラ目を輝かせて、乃糸ちゃんはりんごのコンポートを食べ進める。
私の注文したケーキも美味しかったため、つい無言で食べ進めてしまっていた。
「小桜さんはどうなんですか」
急に、深雪くんがそう尋ねる。首を傾けて私をじっと見つめていた。
「美味しい、って言ってくれないと、仕事のやる気出ないんだけど」
「え、え?」
だからぁ、と、深雪くんは駄々をこねるように言った。
「美味しいならそう言ってくださいよ。いつもそう言ってもらえるから、僕はこの仕事続けられてるんだよ」
確かに、それが深雪くんのやりがいなのかもしれない。
お客さんに、自分が作ったり考えたりしたものを、美味しいと言ってもらえる。
それは、幸せなことなのではないか?
私はそう思って、深雪くんに、
「美味しい!めっちゃ美味しい!お世辞じゃないよ、本当に美味しい!あと可愛い!」
と言ってあげた。
すると深雪くんは、一度笑って、
「ありがとう。やる気出ました」
と言ってくれた。
幸せを、少し分けられたんじゃないかな。
深雪くんが笑ってくれると、なんだか安心する。
乃糸ちゃんと話しているときは、幼馴染だからか、本当に素で話しているようだった。
いつか、乃糸ちゃんだけでなく、深雪くんがありのままで話すことができる人が現れますように。
それが自分だったら、もっと嬉しい。
その後は、乃糸ちゃんとたくさん話ができた。
それから、乃糸ちゃんが深雪くんの様子が知りたいという理由で、連絡先を交換した。
『深雪に何かあったらよろしくお願いします!どうしても過保護になっちゃって』
その夜、随分と遅い時間なのにも関わらず、乃糸ちゃんからメッセージが送られてきた。
『何かあったら連絡するよ!大丈夫!良い子は早く寝なさい!』
『もう子供ってほどの年齢でもないです!!』
そんなやりとりをしつつも、お互い明日のために寝ようと、トークアプリを閉じた。
乃糸ちゃんのような幼馴染がいたら、心強いよね。
何かあったらすぐ助けてくれそうで、とても頼もしい。
私はそう思いながら、今日のことを振り返り、ゆっくりと目を閉じた。
りんごのコンポートは、タルト生地がお皿の代わりになるようにして、素朴だが可愛らしい見た目だった。
その頂にそびえ立つ一絞りのクリームは、淡い色合いのりんごをドレスとして纏っているようにも見える。
「ありがとう。いただきます」
乃糸ちゃんはりんごのコンポートを一口、タルト生地もすくってほおばった。
私の元へ届いたカシスとピスタチオのケーキも、豪華な見た目。
たったのこの二色が、どうしてこんなにも上品なのだろうか。
ピスタチオムースの厚い層の上に、薄いスポンジを挟んで、上段にはまた厚いカシスゼリーがまるで宝石だ。
「私も、いただきます」
小さな円柱型のケーキを、私もカシスゼリーから口へ運んだ。
「…じゅわって、りんごから蜜が溢れてくる」
乃糸ちゃんは、深雪くんを見てそうつぶやいた。
「美味しい?乃糸ちゃんは甘い物好きだから、いいと思うけど」
「美味しい…ここまで来た甲斐があった…」
キラキラ目を輝かせて、乃糸ちゃんはりんごのコンポートを食べ進める。
私の注文したケーキも美味しかったため、つい無言で食べ進めてしまっていた。
「小桜さんはどうなんですか」
急に、深雪くんがそう尋ねる。首を傾けて私をじっと見つめていた。
「美味しい、って言ってくれないと、仕事のやる気出ないんだけど」
「え、え?」
だからぁ、と、深雪くんは駄々をこねるように言った。
「美味しいならそう言ってくださいよ。いつもそう言ってもらえるから、僕はこの仕事続けられてるんだよ」
確かに、それが深雪くんのやりがいなのかもしれない。
お客さんに、自分が作ったり考えたりしたものを、美味しいと言ってもらえる。
それは、幸せなことなのではないか?
私はそう思って、深雪くんに、
「美味しい!めっちゃ美味しい!お世辞じゃないよ、本当に美味しい!あと可愛い!」
と言ってあげた。
すると深雪くんは、一度笑って、
「ありがとう。やる気出ました」
と言ってくれた。
幸せを、少し分けられたんじゃないかな。
深雪くんが笑ってくれると、なんだか安心する。
乃糸ちゃんと話しているときは、幼馴染だからか、本当に素で話しているようだった。
いつか、乃糸ちゃんだけでなく、深雪くんがありのままで話すことができる人が現れますように。
それが自分だったら、もっと嬉しい。
その後は、乃糸ちゃんとたくさん話ができた。
それから、乃糸ちゃんが深雪くんの様子が知りたいという理由で、連絡先を交換した。
『深雪に何かあったらよろしくお願いします!どうしても過保護になっちゃって』
その夜、随分と遅い時間なのにも関わらず、乃糸ちゃんからメッセージが送られてきた。
『何かあったら連絡するよ!大丈夫!良い子は早く寝なさい!』
『もう子供ってほどの年齢でもないです!!』
そんなやりとりをしつつも、お互い明日のために寝ようと、トークアプリを閉じた。
乃糸ちゃんのような幼馴染がいたら、心強いよね。
何かあったらすぐ助けてくれそうで、とても頼もしい。
私はそう思いながら、今日のことを振り返り、ゆっくりと目を閉じた。



