途方に暮れる。見たものや記憶すら書き換えられる存在と闘わなければならないなんて。

「……早く君をとりもどさなきゃ」
『私はこのままでもいいよ。愛するきみといっしょにいられる。思っているより心地よくてね』
「僕は、ベルに会いたいんだ。一刻も早く」
『……好きにするといいよ。きみにあげた新月の始祖の力があれば可能だ』

「ゆう? 誰と話してんの」
「あ……ああ、なんでもない」
「てか、うんこ長すぎない?」

 ゆうはかあっと顔が赤くなった。

「いいから! あっちで待っとけよ!」

「……ベル、必ず君を取り戻すよ。……例えクラスのみんなを殺すことになっても」
『……誰かを殺すのは、本当にもういやなんだけどな……』

 ベルが頭の中で小さく呟いた。