大神小学校、五年一組。
あゆみ先生が、一学期と同じようにおっとりと教室に入ってきた。
「はいはーい。なつやすみ、楽しく過ごしましたかぁ?」
「はーい!」
「みなさん、元気いっぱいで何よりです! 特に!」
みんなのお返事を聞いて、あゆみ先生は満足そうに笑顔を浮かべる。
「大祇祭! みなさん、たくさんお肉食べられましたかー?」
はーい。おいしかったです。うまかったー。これでもう大人ー? みな、楽しかった異口同音の感想を口々にする。
「それはよかった! 先生もとっても嬉しいです。ね、ゆうくん」
ぎくり、ゆうの額に汗がつたう。
「とっても美味しそうに、食べてましたもんね?」
「は、はい……」
(あれ。あの洞窟の中に……あゆみ先生。居たっけ)
「はい、じゃあ、今日はまずなつやすみの宿題を集めますよー」
あゆみ先生はいつものにこにこした顔を貼り付けて、いつもどおりに授業を始めた。
『始祖は誰か、わかっているんですか』
『毅さん、それもわからんのだ。男か女か、見た目も歳もわからない。だが確実に存在し人々の中に溶け込んで、着実にこの村のヒトをおおかみに変えている』
あの日、沙羅のおじいちゃんは苦い顔で確かに、そう言った。
あゆみ先生が、一学期と同じようにおっとりと教室に入ってきた。
「はいはーい。なつやすみ、楽しく過ごしましたかぁ?」
「はーい!」
「みなさん、元気いっぱいで何よりです! 特に!」
みんなのお返事を聞いて、あゆみ先生は満足そうに笑顔を浮かべる。
「大祇祭! みなさん、たくさんお肉食べられましたかー?」
はーい。おいしかったです。うまかったー。これでもう大人ー? みな、楽しかった異口同音の感想を口々にする。
「それはよかった! 先生もとっても嬉しいです。ね、ゆうくん」
ぎくり、ゆうの額に汗がつたう。
「とっても美味しそうに、食べてましたもんね?」
「は、はい……」
(あれ。あの洞窟の中に……あゆみ先生。居たっけ)
「はい、じゃあ、今日はまずなつやすみの宿題を集めますよー」
あゆみ先生はいつものにこにこした顔を貼り付けて、いつもどおりに授業を始めた。
『始祖は誰か、わかっているんですか』
『毅さん、それもわからんのだ。男か女か、見た目も歳もわからない。だが確実に存在し人々の中に溶け込んで、着実にこの村のヒトをおおかみに変えている』
あの日、沙羅のおじいちゃんは苦い顔で確かに、そう言った。

