「ゆうくん? 大丈夫かね」
「ずっと吐きながらぶつぶつ言ってるの」

 ゆうは立ち上がって、トイレのレバーを上げた。じゃー……がちゃり。

「ゆうちゃん! 大丈夫なの? ……誰と話してたの? ねえ、ゆうちゃん!」
「沙羅、やめなさい。ゆうくんは新月のモノだ。心の声が聞こえるんだ」

 そういうと、優しく背中をさすった。

「ショックだったろう。……誠に申し訳ない。村を代表して、君に謝罪するよ」
「……もう、いいです……」

 そうとだけ言うと、ゆうはリビングの扉を開けた。
 お父さんが席を立った。

「大丈夫か」
「……別に……」
「どうでもよくはない。大丈夫かと聞いているんだ……ゆう!」
「あなた」

 お母さんが止めてくれた。今は、なにも話したくなかった。

「さて『新月のモノ』について、話しても大丈夫かね」

 おじいちゃんがゆうに聞いた。ゆうはこくりとうなずいた。

「わかった。話すとするかね」

 ……