「……ごめん、わからない」

 その気持ちはあるんだけど、もうゆうには「そうでない」と言えなかった。ただ、下を向くしか出来なかった。

「ねえ、ゆうちゃん」
「ん?」

 ん──!
 沙羅がキスをしてきた。短く、大人に見られないように。すぐにはなしたけれど。ベルみたいに、舌を使わなかったけれど。

「ゆうちゃん。だいすき」

 そう言うと、沙羅はソファのクッションにぼすんと顔をうずめた。短めの水色のワンピースを着ていたから、ピンクのぱんつが見えた。

「沙羅」
「なんも言わないで! めっちゃ恥ずかしいの! いま!」

 沙羅はクッションに顔をすりつけて言った。ゆうの心に、なんだか暖かい火が灯った気がした。

「……ありがとう、沙羅……」

 ん。沙羅は、短くそうとだけ言った。

 ……