彼女は困惑した顔をする。ゆうは恐る恐るふすまにさわった。ぱちん、と静電気の十倍くらいの痛みが指先に走った。

「やはり。……きみは、新月のモノだ」
「おじいちゃん、あたしそれよくわかんないんだけど」
「……そうだな。きちんと説明をせねば」

 そういうと、おじいちゃんはゆうを見た。

「……お母さんは、静さんはおるかね」
「あ、はい。家にいます。……お父さんは学校ですけど、夕方には帰ってきます」
「では、相原くんの家にお邪魔になろう。待っててくれ」

 沙羅のおじいちゃんは、スマホを取り出して部屋の奥へ行った。ゆうは廊下で待っている。

「ゆうちゃん、待っててね、あたしが助けてあげるから」
「助ける……?」
「うん、あたしはゆうちゃんの味方だから」

 沙羅が結界の外に手を出してゆうの手を握る。ベルと違って、とても暖かだった。

「もしもし、静さんかね。……うん、そう、今来ておる……うん、今から、うん……平気かね? ……うん。それは大丈夫、帰るまで待つよ……うん、ではそれじゃあ」

「……いいそうだ。じゃあ、行こうか。沙羅、外に出る準備をしなさい」

 おじいちゃんは沙羅にそういうと、ゆうの元へ来て、背中に手を当てた。

「色々不安があるだろうけどね。これから君の家で、話すから、よく聞くんだよ」

 ゆうは、こくり、とうなずいた。沙羅がリュックをしょって、出てきた。

「お待たせ! 行こっか!」