怪しげな人たちの群れのあちこちに、ベルを見かけた。山道の電柱にもたれて吐く、アル中のおじさんの影に。ぱんつ丸見えで座り込むなぞの女子高生のグループの中に。神社まで下る階段のあちこちに。頭がどうにかなりそうなのを必死に抑えながら、走った。そして正体不明のヒトの群れをかき分け、鳥居をくぐった時。本殿の真っ赤な扉に吸い込まれるようにして入る金髪の女の子が見えた。
「ベルっ」
でも扉にはそれに相応しいほどの大きな南京錠がかかっていて、とても開けられない。
「ベルっ、ベルっ! 開けて! 僕だよ、ゆうだ!」
「開かないよ」
「ベルっ?」
振り向くと、後ろから声を掛けたのは、金髪の吸血鬼じゃなくて黒髪のニンゲンだった。
「もう! 急にどこいくのよっ」
沙羅がぷんぷんと怒っているけれど、ゆうにはその姿も声も意識に入らなかった。
「ベルっ」
でも扉にはそれに相応しいほどの大きな南京錠がかかっていて、とても開けられない。
「ベルっ、ベルっ! 開けて! 僕だよ、ゆうだ!」
「開かないよ」
「ベルっ?」
振り向くと、後ろから声を掛けたのは、金髪の吸血鬼じゃなくて黒髪のニンゲンだった。
「もう! 急にどこいくのよっ」
沙羅がぷんぷんと怒っているけれど、ゆうにはその姿も声も意識に入らなかった。