学校から角田屋の手前まで、ウルフカットが可愛い──割と美少女だ──美玲がずうっと「チェーンソー・ヤイバ」のことをしゃべり続けている。
「でさ、そしたらヤイバくんがさ!」
「もー、わかんないってば、美玲。……ねえ、ゆうちゃん」
はは……ゆうも苦笑いしか出せない。この前からこの道を通るとなぜか気持ち悪くなる。田んぼに張った水を風が撫でる音がやけに鼓膜を刺すし、きらきらしたお日様の反射が網膜を焦がして痛くて仕方ない。正直、「チェーンソー・ヤイバ」どころではなかった。キリのいいところで、語り続けるオタク少女から視線を進行方向にむけた。二、三十メートル先に、相変わらずオンボロで、看板も日に焼けてほとんど読めない角田屋が見える。
その角田屋に、長いクセのある金髪の女の子が、入っていった……のが見えた。
「ベル?」
見えた、たしかに見えた。ゆうは自然とその名を口に出し、自然とかけ出していた。
「ゆうちゃん?」
「ゆーくん!」
沙羅と美玲が後ろで自分を呼ぶ声を背中で聞きながら、夢中で走って角田のおばあちゃんのお店にかけこんだ。
「でさ、そしたらヤイバくんがさ!」
「もー、わかんないってば、美玲。……ねえ、ゆうちゃん」
はは……ゆうも苦笑いしか出せない。この前からこの道を通るとなぜか気持ち悪くなる。田んぼに張った水を風が撫でる音がやけに鼓膜を刺すし、きらきらしたお日様の反射が網膜を焦がして痛くて仕方ない。正直、「チェーンソー・ヤイバ」どころではなかった。キリのいいところで、語り続けるオタク少女から視線を進行方向にむけた。二、三十メートル先に、相変わらずオンボロで、看板も日に焼けてほとんど読めない角田屋が見える。
その角田屋に、長いクセのある金髪の女の子が、入っていった……のが見えた。
「ベル?」
見えた、たしかに見えた。ゆうは自然とその名を口に出し、自然とかけ出していた。
「ゆうちゃん?」
「ゆーくん!」
沙羅と美玲が後ろで自分を呼ぶ声を背中で聞きながら、夢中で走って角田のおばあちゃんのお店にかけこんだ。