「祭で食べるのって、結局なんなの?」

 ああ、あのね、そう言ってから説明をはじめた。

「神様がくれる、祝福された食べ物なんだって」
「祝福……?」
「うん、あたしもよく知らないんだけど、神様が狩りで捕ってきたお肉なんだって」
「神様が捕ってきた……なんのお肉なんだろ?」
「さあ。でも今は滅多にとれないって。狩りにももう出ないって言ってたから、普通のお肉とか?」
「そっか。美味しいといいな」
「それが……秘密ね? ……超不味いんだって」
「ええっ、やだなそれ」

 ふと自分が今、「飲み込めない」ことに気がついた。今朝も、遅刻するふりをして、朝ごはんをぬいてきた。当日も飲み込めないだろうと思うと、気が滅入った。

「でね、でね。『お膳立て』であたしみんなに配るんだー」

 そんなゆうの心を知らない沙羅は、下を向いて嬉しそう……少し、顔が赤い……?

「ゆうちゃんにはなるべく美味しそうなやつあげるからさ……だから」

 えへへ、ゆうの方を見たけれと、やっぱりほっぺたを朱に染めている。

「いちばん最初に並んでよ。おねがい」
「うん、わかった。いいよ!」
「やったあ! 約束だかんね!」

 ゆうがにっこり笑うと、ぱあっと顔色が明るくなった。んー、んー……ご機嫌になって鼻歌を歌いはじめた。

『気をつけて。くるよ』