教室に戻る。いつもなら給食がかりが、食器や鍋を片付けている頃だ。ところが、七人の──航を除いた──生徒がゆうの机の周りに集まって人垣を作っている。気になって声をかけると、全員が同時に振り向いた。
「ゆうちゃん……」
沙羅が声をかけた。人垣の中心にあゆみ先生が居て、ゆうの机の前でかがんで、ほぼ手をつけずに残った給食を見て、固まっている。そしてなにか、ぶつぶつ言っている。
「あの……あゆみ先生」
「おいしくなかったかな?」
ばっ、と急に振り返って聞いてきた。笑っている……優しい笑顔だ。
「おいしくなかったかな?」
「あ……」
「おいしくなかったかな?」
「いや……ちょっと」
「おいしく、なかった、かな?」
「……ちょっと、お腹へってなくて……」
「……そう!」
にっこり。いつもの先生の顔に戻った。
「だめよ、給食はきちんと食べないと。翔くんを見習わないと……ねえ」
「おれ、ちょー給食好きだし! おかわり三杯くえるし!」
「……ほら、ね? 明日は給食、食べなきゃだめよ」
そう言うと、あゆみ先生は職員室に向かったのか、廊下へ出ていった。
……
「ゆうちゃん……」
沙羅が声をかけた。人垣の中心にあゆみ先生が居て、ゆうの机の前でかがんで、ほぼ手をつけずに残った給食を見て、固まっている。そしてなにか、ぶつぶつ言っている。
「あの……あゆみ先生」
「おいしくなかったかな?」
ばっ、と急に振り返って聞いてきた。笑っている……優しい笑顔だ。
「おいしくなかったかな?」
「あ……」
「おいしくなかったかな?」
「いや……ちょっと」
「おいしく、なかった、かな?」
「……ちょっと、お腹へってなくて……」
「……そう!」
にっこり。いつもの先生の顔に戻った。
「だめよ、給食はきちんと食べないと。翔くんを見習わないと……ねえ」
「おれ、ちょー給食好きだし! おかわり三杯くえるし!」
「……ほら、ね? 明日は給食、食べなきゃだめよ」
そう言うと、あゆみ先生は職員室に向かったのか、廊下へ出ていった。
……