「それ、あげるよ」
「ベルっ?」
「お友達になってくれた、あかしね」
「ベル、どこっ? どこにいるの?」
「ここだよ」
「どこ? ねえ、どこ?」

 ぐらり、めまいがした。ばいばい。そう言って声は聞こえなくなって、ゆうも後ろに倒れた。倒れた時、かんおけに右手が当たった。その瞬間。何かの記憶が流れ込んできた。

 ……

「ベルベッチカ。約束の日だ」
「そうだね。祭りの前の最後の新月だからね……航のお父さんは大丈夫?」
「意識がない。また別に今日おおかみが出た。もうみな抑えられなくなってきてる」
「だから、今日、か」
「大祇祭にお前が必要だ」
「そのために、ロシアからずっと、ずうっと私達を追いかけてきたんだもんね」
「そうだ、私の大切な村の存続のためだ」
「あ、さいごに。あのね。相原のところのあの子にね」
「なんだ?」
「……なんでもない」
「では、服を脱げ」
「……うん」
 どすっ。
「──きぃぁぁあああ!」

 ……