ベルベッチカ・リリヰの舌の味は。

 今までの人生で味わった、全てのものより甘くて、とろけて、美味しかった。一生味わっていたい、その為ならなんでも出来る。時間が遅くなる。永遠に続いているかのような快楽。頭の中に、ベルの愛を直接流しこまれた。
 愛してる、ゆうくん……愛してる、ゆうくん……きみのたましいは、私のもの。愛してる……愛してる……
 ゆうのたましいは……今このしゅんかんから永遠にとりこになった。
 時間が戻り、舌の二か所にずきんとするどい痛みが走った。

(血を……吸われてる……?)

 痛いからはなそうとベルを押すけれど、はなしてくれない。ものすごい力で、ほっぺたをつかまれているみたいだった。でも……だんだん……いい気持ちになってきて……あたまがふわりと浮いた。ベルが口をはなす。

「ああ、美味しかった。これで私はもう、大丈夫。……きみの中で生きることにした」

 目の前が白んで、ものすごく眠くなって。

「ゆうくん。私、幸せだったよ。ゆうくん。大好きだった。ゆうくん……」

 意識が切れる直前。ベルが最後に、そう言ったような気がした。

 ……