沙羅は自分を呼ぶ声に、目が覚める。
 目の前には、ふわりとした腰まであるブロンドヘア。青空みたいな青い目。沙羅の大好きなゆうちゃんが目の前にいる。

「ゆう……ちゃん……?」

 ここはどこだろうか。……教室みたいに見えるが……

「ええっ! なにがあったのっ?」

 机とイスはぐちゃぐちゃに乱れていて、教室の後ろと廊下側、それに天井には二メートルはある大きさの大穴が空いている。

「えへへ。ちょっとね。親子喧嘩」

 そういうと彼は照れくさそうに笑った。なにがあったかなんてわかりっこないけど、このヒトの笑顔を見ていたら、なんだか全部が上手くいったように思えて、ホッとした。
 どぎまぎしながら手を伸ばしてきた。沙羅が気付かずにいると、顔を赤くして、言った。

「帰ろう。沙羅のおじいちゃんのところに」

 あ、と沙羅が大きな声をあげたから、ゆうちゃんはびっくりした。

「もしかして……あたしを助けに来てくれたの?」

 がくっ、ゆうちゃんは下を向いた。

「気づくの、おせえー……」
「えへへ、ごめんごめん! ゆうちゃん?」
「ん? ……ん!」

 沙羅は愛しい彼の唇にキスをした。
 それから二人は、顔を真っ赤にしながら、お互いそっぽを向いて、手を繋いで帰った。

 ……