それでね、あなたに終わらせてもらうことにしたの。この村に広がったおおかみたちも。妹のあゆみ先生も。そして、私も。

 ……人間として、殺して欲しかった。

 そんな事が出来るのは、新月の力を持って、おおかみの力ももって、そしてヒトとして育った、ゆうちゃん。あなたにしか出来ないと思った。
 だから、誘拐を自演したの。ベルベッチカちゃんですらわからなかったみたいだけど、上町のあのお家で襲ってきたのは、私が単に後ろからゆうちゃんを軽く蹴っただけ。うふふ。我ながら上手くいったでしょ。ゆうちゃんは本当によくやってくれたわ。
 クラスメイトに、商店の人、村役場の人。おおかみをみんな食べてくれた。
 ベルベッチカちゃんとの融合も果たしてくれて。
 そして今。こうして私を殺してくれた。

 もう、じゅうぶん。もうじゅうぶんよ、ゆうちゃん。私はじゅうぶん、もう生きた。さあ。

 ……

「さあ、あとは、この首を潰すだけ」

 ゆうはハッとした。