両者の戦闘力は、一見拮抗しているように見える。

 攻撃回数、肉体へのダメージを与える回数。総合的にはお母さんの方が地力に勝っている。
 しかしゆうには瞬間再生があり、どんな致命傷も回復してしまう。
 そして、無尽蔵に見えるお母さんのスタミナにも限度がある。徐々に、本当にごく僅かづつ、攻撃の精度が落ちている。それでも、補ってあまりあるお母さんの手数の多さ。
 攻撃力のお母さん。
 再生力のゆう。
 格闘家のプロが見ても、互角であると断ずるだろう。
 ……しかし。

「うれしいわ、ゆうちゃん。本当に何度でも立ち上がってくれるのね」
「嘘つき。ここまでボコボコにしておいて、手加減してるでしょ」

 ゆうは口元の血をぬぐいながら、お母さん見て憎まれ口を叩く。
 心外ね、とお母さんはにっこり笑う。

「さっきから、ずーっとお母さんは本気よ。これ以上ないくらい」

 つつ……とお母さんの頭から血が流れ落ちた。