「私はもう、死んだ。細胞の欠片も残さないほどに」

 ゆうは首を横に振った。そんな悲しいことを言ってほしくなかった。

「私の再生。それは夢と消えた。……だが、お母さんの救出。これは、姉のオリジンがお母さんだった、ということで、成功した……というか初めからその問題は存在しなかったと言える」

 ベルは手を広げた。

「ここは、彼岸だ。あの世の入口だ。このまま、私とここで永久に存在することも可能だ」

 愛するベルと永久にここで。……ゆうはつばを飲んだ。

「だがもし、マザーの隠していた最後の真実。それを知りたければ行くといい」
「でも、もうベルの体も僕の体も無いんでしょ? どうやって……」

「私を、今ここで食べるんだ」

 ベルはにこにこしたまま、信じられないことを言う。