「はい、私が持ってる分は全部見せたよ」

 冬の空。ベルの……姉のオリジンのお屋敷。かんおけの横。
 温度のない夕焼けの光が差し込む。
 ベルベッチカは、ゆうの額から手を離した。

「まさか……お母さんが……満月のオリジン……?」

 そうだね、と産みの母親は淡々と答えた。

「そんな……お母さんを助けるため、僕は……クラスメイト達を食べてきたのに」
「そこだ。問題は。……なぜ姉のオリジンは、村の崩壊をきみに行わせたのか」

 ベルでもわからないことに、ゆうは途方に暮れた。ゆうは俯いた。

「僕は、お母さんを殺さないといけないの?」

 涙を零しながら言ったゆうに、ベルは意外な言葉を告げた。

「好きにするといいよ」

 ベルは、笑顔のまま、ふうっとため息をついた。