全ては計画通りに進んだ。手中に収めた赤ん坊はすくすくと育った。
 捕らえたベルベッチカは十一年後に切り刻んで、みんなに分け与える。
 村は、このまま繁栄することだろう。

 姉は気づかないうちに、二人の家族に情が移るようになっていた。娘は、自己認識に若干の不具合があるようだったが、周囲からの理解も得られた。幼稚園でも学校でも、居場所を見つけられたようだ。娘から息子に変わったが、それでも良いと思えた。
 夫の弾くピアノも、大好きだった。夫の引く伴奏に合わせて、翼をくださいという息子から教えてもらった曲を歌った。自由に焦がれ続けていた姉にはぴったりの歌だった。結婚記念日に三人でそれを歌った。歌うことがこんなに楽しくて幸せだとは思わなかった。
 息子とも、夫とも、幸せいっぱいの日々が続いた。
 夫との間に新しく赤ん坊まで授かった。姉は、ようやく妹と同じ、陽の光を得られる幸せを手に入れた。
 全ては。全ては計画通りに進んでいた。そのはずだった。

 ……だがある時、唐突に。
「姉」は恐れた。