さすがに七百年近く生きた新月の始祖は手強かった。祭りまで時間がまだあるとはいえ、日本まで追い込むのに五年かかった。
ウラジオストクで足跡が途絶えた。だが最後に襲撃した際に赤ん坊のにおいがした。妊娠しているようだ。ならば捕獲は近い。港湾関係者をしらみつぶしに当たり、貨物船に密航していることを聞き出した。
(小樽……北海道か)
急いで飛行機に乗り込み、港で待ち構えた。運ばれるのは荷物満載のコンテナばかり。
(私のベルベッチカ。逃がさないよ。満月の目、起動……索敵……発見)
港湾に隣接する貨車に乗り込んだようだ。愛しいベルベッチカは、大きなお腹を抱え、苦悶の表情で足を進めていた。歩くのもやっとに見える。特急電車に乗り込み、新青森発の東北新幹線に先回りした。パートナーのオレンジのダウンは目立った。貨車で出産したのか、裸の赤ん坊も抱えている。追跡は容易だった。そして、盛岡に着くころを見計らって行動を開始した。
相手も新月の目を持っている。満月の目で索敵すれば気付かれるだろう。「だからこそ」満月の目で三人を捕捉した。
慌てて盛岡で降りる親子。けれども可哀想に。ベルベッチカは満身創痍だ。必死に気配を消してローカル線に乗り込んだが、見え見えだ。少しづつ自分の大祇村に近づいていることに、興奮を抑えられない。
そして、雪の降る山道。大祇村まで五キロの所で確保した。
付き添いの新月のモノは、一撃で葬った。始祖ベルベッチカも戦闘不能だ。後はこの新月のモノを捕獲するだけ。その時。
ウラジオストクで足跡が途絶えた。だが最後に襲撃した際に赤ん坊のにおいがした。妊娠しているようだ。ならば捕獲は近い。港湾関係者をしらみつぶしに当たり、貨物船に密航していることを聞き出した。
(小樽……北海道か)
急いで飛行機に乗り込み、港で待ち構えた。運ばれるのは荷物満載のコンテナばかり。
(私のベルベッチカ。逃がさないよ。満月の目、起動……索敵……発見)
港湾に隣接する貨車に乗り込んだようだ。愛しいベルベッチカは、大きなお腹を抱え、苦悶の表情で足を進めていた。歩くのもやっとに見える。特急電車に乗り込み、新青森発の東北新幹線に先回りした。パートナーのオレンジのダウンは目立った。貨車で出産したのか、裸の赤ん坊も抱えている。追跡は容易だった。そして、盛岡に着くころを見計らって行動を開始した。
相手も新月の目を持っている。満月の目で索敵すれば気付かれるだろう。「だからこそ」満月の目で三人を捕捉した。
慌てて盛岡で降りる親子。けれども可哀想に。ベルベッチカは満身創痍だ。必死に気配を消してローカル線に乗り込んだが、見え見えだ。少しづつ自分の大祇村に近づいていることに、興奮を抑えられない。
そして、雪の降る山道。大祇村まで五キロの所で確保した。
付き添いの新月のモノは、一撃で葬った。始祖ベルベッチカも戦闘不能だ。後はこの新月のモノを捕獲するだけ。その時。

