ベルベッチカ・リリヰの舌の味 おおかみ村と不思議な転校生の真実

 まだ集団行動の取れない歳の頃。興味が引かれたら、そっちにつられて行ってしまう。なれない幼稚園の体育館。小学生になってから行ったことがあるけれど、本当に小さな体育館だった。でも、三歳の沙羅にはとても広く感じた。その体育館に、ちっちゃな椅子がきれいに並んでいて、どぎまぎした三歳のこどもたちがちょこんと座っている。
 樫田沙羅はそう叫んで、お人形さんのそばに駆け寄った。公園で何回か見たことがある。でもお砂場でも滑り台でも、その子はお母さんと見てるだけ。あんまり綺麗だから、勝手に「リサちゃん人形の子」と呼んでいた。その憧れの子が、何人か前に座った。沙羅は、リサちゃん人形の子の所まで走って、そのかみのけをさわった。

「かみのけきれー!」

 リサちゃん人形の子は、かみのけをさわられるをいやがった。でも沙羅をみる瞳をみて、もっと夢中になった。あおい、おそらの色をしていたから、思わずきれいとさけんだ。

「やだ! ぼくはおとこのこだよう」

 え? こんなきれいなおとこのこは沙羅はみたことない。
 このしゅんかん。沙羅のちっちゃな心臓に、あついあついひがついた。