沙羅は思考が追いつかない。転校してきたクラスメイトが、大好きな子のお母さんで。その子が自分と同い年の子を産んでて。その赤ちゃんが女の子だけど、中身は男の子で。今はその赤ちゃんと入れ替わってしまっている。……考えるだけで頭がパンクしそうになる。

「はは。ややこしいよね。ごめんね」

 沙羅と同じように笑うその姿を見ていると、七百年も生きていたなんて、とても思えない。ふつうの、綺麗な女の子だ。幼稚園の頃、ずっとずっと欲しくてお母さんにねだっていた、「リサちゃん人形」に似ている。
 こんなこと、前にも考えたことなかったっけ。沙羅は頭をひねった。

 ……

「リサちゃんにんぎょうのこがいる!」

 村にひとつしかない幼稚園の入園式。三歳の沙羅は金髪がとても綺麗な女の子にかけよった。