「でもほんと、ベルベッチカちゃん、綺麗だよね」

 脱衣所を出て、沙羅は興奮気味に憧れの女の子に素直な気持ちを口にする。

「そうかい。あまり言われないから、実感が湧かないな」

 そんなことはぜったいにない。沙羅はベルベッチカに伝えながら。

「ゆうちゃんにそっくり! もしかして、生き別れた双子のお姉さん、とかだったりして!」

 あはは、と冗談交じりに言ってみたら。

「母親、だよ」

 へ? ははおや。今そう聞こえたような気がした。

「私はゆうくんの、母親だ。十一年前、貨車の上で出産した」

 沙羅は自分の開いた口がうまく閉じないのを感じる。

「私は七百八歳だからね。十一歳の沙羅ちゃんとは、違うんだよ」
「……えええええっ!」