どかっ……と、笑顔のまま、あゆみ先生はみかを信じられない速度で蹴り上げた。ばきばき、肋骨が折れる音がみかの中で響く。みかは叫ぶこともままならないまま、高く飛ばされた。でもみかにも満月のモノの血が流れている。必死で下を向いてあゆみ先生を捕捉しようとした。が。

「あら、こんにちは」

 信じられないことに、下にいたはずのあゆみ先生は、みかの目の高さで浮いている。
 どがっ。そして、頭を思いっきりひじで、打った。
 ぎゃんっとみかは地面に叩きつけられたあと、またもや瞬間的に移動したあゆみ先生にお腹を蹴られ、三十メートル先の社務所に激突した。

「ゆうくーん? そこにいるんでしょう?」

 そういいながら、あゆみ先生は息も切らさず悠然と歩いている。

「早くしないと大事なお友達がなぶり殺しよ?」

 たった三撃だったが、もうみかは虫の息だ。辛うじて立とうと脚を動かすが、もう立ち上がることもできない。

 ……