「あらあ、みかさん。そんなに怒って。先生なにか、したかしらあ?」
「先生、私思い出しました」
「ふふふ、『なんだっけ』は、なしよ?」
「きちんと覚えてます。ひと月前。先生は相原ちゃんをはじき飛ばして、私にかみついて、おおかみにしたんです! 祭の時、私は肉を食べなかったから」
「あらあら、よく覚えてるわねえ。みかさんらしくないわ」
「それからずっと、私に思い出さないようにした!」
「……それで……みかさんはどうしたいのかしら」
「相原ちゃんに言います。それで、先生をやっつけてもらいます」
「あらあ、残念だけどゆうくんじゃあ私に勝てないわ。……それに、そういうの」

 とん、と先生はみかとの十メートルを、いっしゅんでつめた。

「なんていうか知ってる?」
「あ」
「身の程を弁えない……っていうの」