ゆうは、気配を消して社務所の窓からそーっと覗き込んだ。
 あゆみ先生だ。小さい身長に、おっきな胸。みんなのアイドルだ。遠くからでも識別できる。
 そして相対するようにゆう達に背中を向ける形で、一頭の──比較的小柄な──おおかみがあゆみ先生を向いている。……威嚇をしているように、見える。

『あのおおかみは……!』
「みかだ」

 ゆうも新月の目を持っている。ベルより早く判別した。ゆうはかけだそうとする。

『待て、愛しいきみ。まだ結界の中にいるんだ……どうして敵対しているのか、確認してからでも遅くないはずだ』

『勇敢なのと向う見ずとは、違うよ』

 おじいちゃんの言葉が、よみがえった。

 ……