クラスで唯一のメガネ少女でカチューシャで忘れ物クイーンの、岩崎みかは考える。
ひと月くらい前……何か、大切なことを相原ちゃんに伝えようとしていたのだ。九月なのにとてもとても暑い日で。大祇神社の境内で。相原ちゃんに、伝えようとしたことがあった。
(そう。そうだ。見たんだ。『誰か』を……)
誰かが、境内の階段を下りてきた。それから。それから? ……気がついたら家に帰っていた。そして気がついたら、そのことをすっかりわすれている。
また、思い出す。相原ちゃんに何かを伝えようとしていた……
なんだっけ。
……
あゆみ先生が、いつものようにおっとりと教室に入ってきた。
「はいはーい。朝の会、始めまーす。出席取りますよー……うんうん、みなさん、元気ですね! じゃあ今日の連絡をしまーす。今日はー……」
みかは意を決して手を挙げる。だけど……
「……なんだっけ」
「おい、みかー」
「蒼太、みかは忘れ物クイーンだよ、しょうがないよ」
はははは、クラスは笑いに包まれる。三人の。
ひと月くらい前……何か、大切なことを相原ちゃんに伝えようとしていたのだ。九月なのにとてもとても暑い日で。大祇神社の境内で。相原ちゃんに、伝えようとしたことがあった。
(そう。そうだ。見たんだ。『誰か』を……)
誰かが、境内の階段を下りてきた。それから。それから? ……気がついたら家に帰っていた。そして気がついたら、そのことをすっかりわすれている。
また、思い出す。相原ちゃんに何かを伝えようとしていた……
なんだっけ。
……
あゆみ先生が、いつものようにおっとりと教室に入ってきた。
「はいはーい。朝の会、始めまーす。出席取りますよー……うんうん、みなさん、元気ですね! じゃあ今日の連絡をしまーす。今日はー……」
みかは意を決して手を挙げる。だけど……
「……なんだっけ」
「おい、みかー」
「蒼太、みかは忘れ物クイーンだよ、しょうがないよ」
はははは、クラスは笑いに包まれる。三人の。

