「ええっ? 先生が始祖?」

 そうだ。ゆうは新月の目で見ていた。ヒトの目よりはるかにまやかしに強いが、新月の目すらあざむかれていなければ、あゆみ先生その人だった。

「満月の始祖が新月の目をあざむいてあゆみ先生の姿を取っていた可能性はあるか?」

 おじいさん。そうだ、その可能性はある。むしろ私は、当初よりそうではないかと思っている。大陸から私を追いかけ続けてきたオリジンは、最後まで新月の目でも実体が見定められなかったからね。ここでゆうくんだけが見破れた、と考えるのは都合が良すぎる気がする。
 ……ところでお父さん。私は気を失う直前に、あなたがつぶやいたことについて知りたいな。

「ああ、あれは……気のせいだ。気にしなくていい」

 そうか。……あなたがそれについて話したくなったら、みなに話しておくれ。

「俺の考えが、読めるのか?」

 ふふ。私も一応、新月のモノの始祖だからね。
 残念ながら、拳銃はゆうくんが死線をさまよっている間に紛失してしまった。

「それについては……こちらでなんとかしてみよう」

 おじいさん。大丈夫かい? あまり、無理はしないでおくれ。
 ……おっと、ゆうくんが目が覚める。意識をゆうくんに返さなくては。
 なお、記憶は私が直接伝える。あなた方が説明する必要はない。……それでは、失礼。