「いっ……いいいっ……たたた……」

 悲鳴にならない声で痛みを必死で耐えながら、立ち上がる。

「う、うえぇぇえっ」

 しかし、立ち上がった瞬間、せり上ってきた血を吐いた。

『来るぞ、急いで』
「……エレオノーラ……」
「はあっ、はあっ!」

 こんなに強いなんて。様はない、と心の中で悪態をつきながら、なんとか急斜面をよじ登る。

『言っただろ。オリジンには絶対勝てないって』
(痛い痛い痛い痛い……)

 むせながら、血を吐きながら、なんとか道路まで出た。アスファルトにはいつくばっていると、ベルが急かす。

『三十メートル後ろにいる。いそげ、大祇神社まで走れ!』
「ぜえっ……ぜえっ……ごほっごほっ!」

 ベルが無茶を言う。立ち上がるのですら困難を極めるというのに。
 ずるっ、ずるっ……裸足でスギ林を歩いたから、切り傷だらけだ。でも、そんなの気にならないくらい、激痛が嵐のように身体の中をむさぼる。
 上半身が裸で木の枝の刺さった女の子を見たら、みんなどう思うのかな。そんなどうでもいい考えが頭をよぎる。というか、そんなことでも考えてないと痛みでどうにかなりそうだ。