『オリジンの追撃がくるぞっ! 立て、立つんだ愛しいきみ! 立って!』
「がっ……は……ごほっ」

 夕暮れの遅い時間。真っ暗なスギ林の中で、ゆうは倒れている。
 ささくれ立ったスギの木に、上半身裸で打ち付けられたのだ。一センチくらいの太さの枝が三本、弓矢で射られたかのように、胴体を貫通している。

「ごほっ、ごほっ」

 それを認識するや否や、激痛がゆうの未発達な脳を焼き尽くした。

「うあああああっ……」
『大丈夫だ、二本は急所を外している。一本は……うん、なんとかしばらくはまだ生存出来そうだ。新月の力が目覚めている。痛みを意識から外すんだ』

 十一年間ただの子供として生きてきたゆうには、とても出来そうにない。

「はあっ、はあっ……うああっ……」
『刺さったままでいい、立って、歩くんだ。二十秒以内にオリジンが来るぞ』

 ゆうは到底出来る訳のない指示を受けて、気が遠くなりそうになる。