「……そういうの」

 一歩。

「なんて言うか」

 二歩。

「知ってる?」

 三歩。半裸のゆうの目の前に立った。
 ぐるるる……おおかみが唸る。それを左手で制する。
 しゃがんで、ずっと出しっぱなしの、ゆうの少し膨らんだ左の乳房を「右手で」爪を立ててつかんだ。

「あうっ」

 そして、耳元で囁いた。

「……死に損ないって、言うの。わかる? ベルベッチカちゃん」

(いまだっ)

 ゆうは引き金を引いた。どんっ。

 ……しかし。

 ゆうは知覚できない速度で振るわれたあゆみ先生の「右手」でお腹を殴られ、家の壁をやぶり五十メートル先のスギ林まで吹き飛ばされ、木を三本なぎ倒して沈黙した。