ぎしっ……ぎしっ……
 ぎしっ……止まった。

『バカっ! 早く、早く逃げろ、ゆうくん!』
「……エレオノーラ……」

 地の底から響くようなくぐもった声に鼓膜がふるえる。

(新月の目、発動……よし……ふすま越しに、見てやる。お前の姿を)
『ゆう! 聞け! 逃げるんだっ! ゆうくんっ!』

 真っ赤な視界に、白い人影が浮かび上がっている。前よりくっきり見える。

(あいつが、始祖。さあ、さあ、その姿、見せろ……今銀メッキの弾を撃ち込んでやる)
「……朝ノ会ヲ 始メマース 出席取リマスヨ……」

 え。
 考えるより先にふすまが開いた。

「相原ゆうくん!」

 にっこり笑ったあゆみ先生が。胸の大きくてみんなのアイドルのあゆみ先生が。
 ゆうの部屋の前で、立っている。
 ゆうは銃口を下げた。

「あゆみ……先生……?」