目の前には階段がある。たしか電気はこの辺に……あったあった、ぱちり。けれど、電気が止まってるのか停電なのか、電気はつかず階段は暗いまま。でも、上の部屋は明るい。彼女の部屋はたしか、お日様がよく差す部屋だった。
 いまいく、そういって蒼太はその子の部屋のふすまを開けた。
 そこには、ずっとずっと好きだった女の子が、青いパジャマで座っていた。

「ゆう! 何してたんだよ、心配したよ」

 ごめんね。なんだか悲しそうに、そう言って笑った。
 床に付くくらい長い髪。クセのあるブロンドヘアは、お人形か人魚みたいだった。夕日の光だけの部屋でもわかる青い瞳。この瞳が、何より好きだった。蒼太はゆうの前に座った。

「なあ。悩んでること、あるなら言ってみ? 俺、そうだんのっからさ」
「悩み?」
「たとえば……その……髪の毛のこととかさ。翔かなんかに言われたんだろ、きっと。あいつデリカシー無さすぎだからさ。俺が」
「今日はね。君を待ってたんだ」

 蒼太の話を遮って、ゆうは言った。蒼太は思わず聞き返すと、信じられないことを言った。

「僕、さ。ずっと、ずっと前から蒼太のこと、好きで」