おとーさん。天国のおかーさん。
 わたし、今、オトナの階段登ってるの。
 今からオトナになるの。
 けっこんするの。
 この人と。
 それで、それで、こどもうむの。
 ああ、わたし、しあわせだ。
 しあわせなの。
 おとーさん、天国のおかーさん。
 わたし、天国にいるみたい。
 わたし、しあわせなの。

 ねえ、わたし、しあわせ。

 ねえ……

 ……

 相原ゆうは、新月の牙で、香坂結花のぜんぶの血といっしょに、いのちを残らず吸い取った。

『完璧だ。おおかみにせず、新月の魔力で封殺するなんて』

 ベルは感心している。なんだかとても嬉しそうだ。

「いのちを吸い殺したんだ。友達の」
『そうだったね……ごめんよ……』
「ううん、大丈夫。ベルを取り戻すためだから」

 そう言って、ゆうは真っ白になった結花の首筋に、かみついた。