「相原くん! いらっしゃい! ……おとーさん、お客さんだよー!」

 髪を下ろしている。腰まであるブロンドヘアが、開けたドアの風にゆれてる。青い瞳が、こっちを見てる。なんどもタブレット越しにキスした、愛しい愛しいすがた。

「やあ、結花」
「きょ、今日は髪、下ろしてるんだね?」
「……うん。今日はこっちで来てみた」
「似合うよ、相原くん。わたし、そっちの方が好きだな……」
「結花も、おさげ、いつも可愛いね」

 結花は戸惑うけれど、愛する愛する彼女は、とても穏やかに笑う。

「メイド服姿も、とっても良く似合うよ」
(わたし、今たぶん真っ赤だ……)

 結花は両手でほっぺたを押さえた。見られるわけにはいかない。自分が女の子しか好きになれないなんて、バレたらたいへんだ。でも……

「そ、そんなに……似合う……かな?」
「結花は背が高いから。とってもよく、似合う」

 そう言うと、入り口からずいっと入ってきて、カウンターに自身の身体で結花を押し当てた。いわゆる壁ドンされている状態だ。

「は、はわわ……ど、どしたの? きょ、今日はなんだか……積極的……っていうか……」
「結花」
「お、おとーさん、どーしたんだろ、まだかなー? せ、せっかく、相原くん来てくれたのに……」

 彼女の顔がどんどん近づいてくる。

「ねえ、今日は。結花のお部屋案内してよ」
「わ、わたしのおへや? い、いいけど……うん、いいよ」

 写真、貼ってなくて良かった。結花は心底ホッとした。

 ……