「わかった。もういい。ベルは僕が弱くて、馬鹿で、美玲を苦しめたひどいやつだと言いたいんだろ」
「そうだよ」

 なんだよ。ゆうは頭の中で毒づく。もう少し労わってくれたっていいのに。

「ひどいやつ、というのは間違いだけどね。……わかっておくれ、愛しいきみ。きみはまだまだ弱くて、私があげた力の十分の一も使いこなせていない。私はきみに、死んで欲しくないんだ」
「ベルとお母さんの為なら、こんな命惜しくないよ」

 本音だ。今の自分はそのために生きているのだから。

「きみが死ねば、そのどちらも叶わなくなるぞ。……よく、考えるんだ。頭を使うんだ。……今回の反省点は、そんなところだ」

 ……

 いつの間に神社の前に着いていた。はたから見たらぶつぶつ一人でしゃべる危ないやつに見えただろう。はあ。こうべを垂れて、日が沈みかけてる谷への階段を下った。下りなのに、なんだか足が、とても重たかった。とても。