しゅううう……
 おおかみはどこかに行って、荒れ放題の部屋に、右目と胸に大穴の空いた美玲が残された。

「美玲! わかるか、美玲、僕だっ」
「……わかるよ……ボクのゆーちゃん」
「美玲! ごめん、ごめんよ美玲」
「……いいんだ。ボク……ほんとは祭りの日に……死んでたんでしょ。茜に食べられて」

 美玲は大好きなゆーくんから目を逸らした。

「ほんとは……ほんとは、全部知ってたんだ。でも、怖くて。ゆーくんに嫌われるのが怖くて」
「嫌ってなんかない!」

 ゆーくんは涙をこらえて叫んだ。

「美玲……君の話すチェーンソー・ヤイバが、好きだった! とても!」
「ほんと……?」

 美玲は、天にも昇るような想いだった。

「ゆーくん……泣いてる……ボクのため、泣いてくれてる……えへへ。うーれし……」

 そして、血まみれの唇で、お願いした。

「ね……キス……して……ね? お願い」
「美玲……あのね、僕は」
「……」
「美玲? 美玲! 美玲ーっ!」

 ……